別部門での検査・治療から帰ったあとに起こる変化は意外と多い!「帰室時の状態」や「異常への対応」をわかりやすく紹介します。今回は、心臓カテーテル検査後の帰室後急変・急性合併症について解説します。

病棟間ギャップを解決するための配慮点

 心臓カテーテル検査は技術が進み、ひと昔前と比べ日帰り手術を行う施設も増え、気軽に受けられる検査となってきました。しかし、患者にとっては針を動脈に刺す、造影剤を使用することは侵襲であることには間違いありません。また、術中は慣れない環境で意識が清明なまま検査台での安静を強いられています。

 今回は検査室で受ける患者の侵襲をイメージできるよう示してみます。しかし、“百聞は一見に如かず”です。カテーテル検査室の門を一度叩いてみてください。そこで患者がどのような検査を受けているのかぜひ見てきてください。そうすると、患者への声かけが変わってくるのではないでしょうか。

 病棟看護師は、迎えのときにはぜひ、患者へ一言ねぎらいの言葉をかけてください。帽子をかぶりマスクを装着した状態で、目しか見えていない検査室の看護師が声をかけているときと、“顔見知り”の病棟看護師が声をかけたときの安堵の表情はぜんぜん違います。
 検査を受ける前から退室するまで、きっと緊張されているのでしょう。その一言で患者との信頼関係がよりいっそう深まり、安静への指導など協力してもらう場面での看護が変わってくるかもしれません。

心臓カテーテル検査:帰室後急変・急性合併症

急性冠動脈閉塞

急性冠動脈閉塞

原因・症状

 急性冠動脈閉塞は、術後に急性心筋梗塞あるいは狭心症の発作が起きている状態です。症状は、胸痛悪心・嘔吐冷汗血圧低下を認めます。

治療対応

 胸痛の訴えがあればただちに12誘導心電図をとり、ST変化(上昇)を確認します。心電図上にST変化が見られた場合は、医師へ報告後指示の上、ニトログリセリンを舌下投与します。

ナースの配慮点

 胸痛が持続している間は、症状やバイタルサインは必ずモニタリングします。患者には、胸痛がおさまりバイタルサインが安定するまでベッド上安静をしてもらうよう説明します。
 この合併症の予測としては、検査室から「今後、治療が必要な状態である」と申し送りがあれば、急性冠動脈閉塞の可能性は高くなるため注意しなければなりません。

出血・血腫

出血・血腫

原因・症状

 術中の血圧が高い、穿刺部の止血が十分ではなかった、安静を保持できなかった(穿刺部位を屈曲または力を加えた)場合に見られることがあります。
 この場合の出血は動脈性であるため、進行すれば出血性ショックに移行します。また、出血であれば表面上確認ができますが、血腫は皮下で徐々に出血することが多いため、気づかないうちに増強していることがあります。

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