日本の人口減少・少子高齢化の進行による社会問題が表面化するといわれる「2040年問題」。ケアの担い手が深刻に不足すると予想されるなかで、地域で暮らしたいという高齢者等の希望へ応えるためには、サポートやそれを一過性のものとしないためのシステムが必要です。

 こうした「在宅ケアに関する学術的なトピックスや現場での新たな実践などを含め、『望む場所で暮らす』ことへの支援に関する新たな気づきが得られる機会とすること」をめざし、第29回日本在宅ケア学会学術集会が、2024年8月24~25日に神奈川県・鎌倉市で開催されました。

 「『望む場所で暮らす』をかなえるために つくる・つなげる在宅ケア」というメインテーマのもと、2日間でのべ800名の参加がありました。

今後の在宅ケアに関するホットトピックを中心に、活発な議論が交わされた

 同学術集会では「在宅ケアに関する技術」「家族支援」「多職種連携」「テレナーシング」といった多角的なテーマのセッションが企画され、各会場で自身の経験をふまえた質問などの活発な意見交換・交流が行われました。

 今年10月の発刊が予定されている『在宅ケア実践ガイドライン2025』についての完成報告も行われ、改訂のプロセスや新規に掲載されることとなったトピック(在宅高齢者への包括アセスメント、睡眠支援、認知症リハビリテーション支援)の紹介などが解説されました。
 また、認定看護師や専門看護師などが行う高度看護実践が地域で行われる医療においてどのような役割を担っているのか、さまざまな施設やフィールドでの取り組みも報告されました。

 25日の午後には、「『住み慣れた自宅で最期まで…』をかなえるために~在宅ケアのすゝめ~」と題した市民公開講座も開催されました。俳優の大竹しのぶ氏をゲストに、会場には在宅ケアに関心をもつ多くの参加者が足を運びました。

 本学術集会の企画の一部はオンデマンド配信されており、参加登録は9月30日(月)まで受け付けているとのことです。

○学術集会概要
学会名:第29回日本在宅ケア学会学術集会
テーマ:「望む場所で暮らす」をかなえるために つくる・つなげる在宅ケア
会期:2024年8月24日(土)、25日(日)
会場:鎌倉芸術館
会長:永田 智子(慶應義塾大学 看護医療学部 教授)

○学会情報
一般社団法人 日本在宅ケア学会
HP:https://jahhc.com/