病院でのスキントラブル好発部位(仙骨・尾骨)の褥瘡に対する排泄ケア事例

演者:佐々木早苗先生
(東京大学医学部附属病院 皮膚・排泄ケア認定看護師)

 まず、当院で使用しているおむつについてご紹介します。当院では、入院期間中、1日定額制で枚数制限なくおむつを使用できる定額おむつシステムを利用しています。在庫確認や補充は委託業者が行っています。
 
 患者さんがよいものを使用できるようにと、さまざまな現場の声を踏まえ、取りそろえるおむつ・パッドの種類が決定。入院期間の短縮傾向にあるなか、直近1か月では入院患者の16%がおむつシステムを利用していました。

定額おむつシステムの利点
<患者・家族にとっての利点>
・家族によるおむつの持参が不要
・一定枚数以上使用する場合は有利
・手続きが簡単(利用申込書に記入するのみ)

<医療者側の利点>
・家族へ補充依頼の連絡が不要
・同一製品の使用で吸収量等の共通認識が図れる
・同一製品の使用であて方等ケア統一が図れる

事例①自らパッドを外す患者の失禁ケア

事例①

70歳代 男性
疾患:右上葉小細胞肺がん、胃食道接合部がん。化学療法中であったが化膿性椎体椎間板炎にて入院加療
JCS:Ⅰ-2(見当識障害あり)せん妄あり
ADL:全介助
食事:流動食、エンシュア
ブレーデンスケール合計 12 点(知覚の認知:3、湿潤:2、活動性:1、可動性:2、栄養状態:2、摩擦とずれ:2)
●機能性尿失禁
●尿取りパット交換回数: 8 回以上/日(日中のみ)、夜間はウエスタンシース装着
●自分で尿取りパットを外してしまう
●横シーツ(防水シーツ)まで尿漏れあり、シーツ交換や寝衣交換を要する

 上記の事例では、パッドを定額おむつシステムに含まれる「アテント Sケア 前側吸収 おしりさらさらパッド」(大王製紙株式会社)に変更しました。男性でも1枚で使用でき、尿漏れも減少。そして何より、自分でパットを外すことがなくなりました。皮膚の湿潤が軽減されたため、快適度が高まったからではないかと思います。
 また、尿の脇漏れやパッドの交換回数が減り、患者さんの負担も、看護の負担も軽減。褥瘡も予防することができました。

 パッドによって吸収量は違います。それぞれの吸収量を理解し、患者さんの尿量や状態に合わせて選択しましょう。

男性でも1枚で使用可能。自らパッドを外すことがなくなった(画像は演者提供)
褥瘡発生なし(画像は演者提供)

事例②褥瘡リスク患者の尿失禁ケア

事例②

70歳代 男性
疾患:側頭葉膠芽腫。放射線治療、化学療法実施後、再発
・JCS:Ⅱ-20(刺激で開眼)
・栄養・水分投与:1,100nl(経鼻胃管)
 
<褥瘡発生リスクの背景>
●仙骨部、尾骨部に著明な骨突出
BMI:16.7 kg/㎡(身長176cm、体重52kg)
●ブレーデンスケール合計10点
知覚の認知:2、湿潤:2、活動性:1、可動性:2、栄養状態:2、摩擦とずれ:1
●尿失禁あり(機能性尿失禁)
「アテント Sケア 前側吸収 おしりさらさらパッド」を約8回/日交換
●便失禁あり(軟便少量)
「アテント Sケア 前側吸収 おしりさらさらパッド」範囲内で収まる

 事例②の患者さんは仙骨、尾骨に著明な骨突出がある状態だったので、高機能のエアマットレスを用いて体圧調整を行いました。排泄物から皮膚を守るため、撥水性のあるスキンケア用品を使ったケアも実施しました。

 また、パッドは「アテント Sケア 前側吸収 おしりさらさらパッド」に変更。その結果、入院22日目で褥瘡は発生しませんでした。尾骨・仙骨部への体圧がかかりにくいという特徴が、今回の事例での褥瘡予防につながったのだと思います。

入院22日目。褥瘡発生なし(画像は演者提供)

事例③褥瘡を有する患者の尿失禁ケア

事例③

80歳代 男性
疾患:パーキンソン病。誤嚥性肺炎にて緊急入院
・ADL:全介助
・ブレーデンスケール合計12点(知覚の認知:3、湿潤:2、活動性:1、可動性:2、栄養状態:2、摩擦とずれ:2)
・JCS:Ⅰ-2(見当識障害あり)
・栄養水分投与:1,800mL(経鼻胃管)
・機能性尿失禁

 入院時、すでに尾骨部に褥瘡が発生。入院以降は「アテント Sケア 前側吸収 おしりさらさらパッド」を使用し、入院8日目で褥瘡は治癒に至りました。周囲の皮膚の診断も改善されました。

入院時の尾骨部褥瘡。d2-e1s3i0g0n0p0:4点。皮膚の浸軟あり(画像は演者提供)
「アテント Sケア 前側吸収 おしりさらさらパッド」使用後の尾骨部褥瘡。入院8日目で治癒(画像は演者提供)

パッドの使用効果

 これまでの事例を通してわかった、「アテント Sケア 前側吸収 おしりさらさらパッド」の効果を以下にまとめます。

●尿を十分に吸収し、尿取りパットの交換回数を減らすことが期待できる
・1枚あたりの吸収量が多い(約450mL)
●経済的効果が期待できる
・使用枚数の減少
●看護負担の軽減が期待できる
・尿取りパッド交換やシーツ交換の回数減少
●褥瘡発生の防止が期待できる
・前側で尿をスポット吸収し、尿が拡散しないという特徴から皮膚浸軟を防止
・尾骨・仙骨部への体圧がかかりにくい
●患者への負担軽減が期待できる
・尿取りパット交換の回数減少、皮膚障害の回避、不快感の低減

座長・真田先生より
急性期の患者さんたちの多くは高機能マットレスを使っています。高機能マットレスの効果を得るには、できるだけおむつを薄くすることが大切です。今回の発表から、いかに体圧分散寝具の効果を得るかということも、褥瘡予防には大きなメリットがあるのだと感じました。