患者さんの訴えから重大な疾患を見きわめて、すぐに対応するには?今回は頭痛を起こすキラーディジーズ「脳出血」「髄膜炎」のメカニズムや初期対応を紹介します。

脳出血の症状

●頭痛(突然発症する、持続する頭痛)
●悪心・嘔吐 ●意識障害 ●けいれん ●神経脱落症状 ●血圧上昇

脳出血のメカニズムと、特徴的な所見

既往歴や生活歴が脳出血の判断のヒントに

 脳出血は脳の実質内に生じる出血であり、下記のような疾患が原因となりますが、高血圧性のものが圧倒的に多く、80%以上を占めます。リスクファクターとしては、年齢、アルコール多飲、LDL低値、低TG血症などがあるため、既往歴や生活歴を聴取する必要があります。

脳出血の原因
高血圧 ※高血圧性が80%以上を占める
糖尿病 ●喫煙 ●アミロイドアンギオパチー ●動脈瘤 ●塞栓後の出血 ●敗血症性塞栓

 原因とリスクファクターを併せて考え、該当があれば脳出血の可能性があると考えます。麻痺、けいれん、出血の範囲によっては致死的となるため、早急なアセスメントが必要です。

「突然発症」「持続する頭痛」なら脳出血を疑う

 頭痛の部位は出血部位によりますが、発症は突然であり、今までにない疼痛で持続することから、「突然発症」「持続する頭痛」がみられた場合は、脳出血を疑います。
 ただし、臨床で注意しておきたいのは、頭痛がない場合も脳出血の可能性は捨てきれないことです。小脳出血、皮質下出血、脳室穿破を伴う視床出血などは頭痛を生じやすいですが、被殻出血や視床出血といった脳実質内の出血では頭痛は出現しません

 今回紹介するのは頭痛がある場合のアセスメントですが、ない場合もその他の神経所見などから的確に判断できるようになっておきましょう。 

脳出血での初期対応

 初期対応としては、出血増悪を防ぐために血圧管理をし、不用意な侵襲、疼痛を与えないようにします。

髄膜炎の症状

●頭痛
●項部硬直、発熱、意識障害(古典的3徴)
●髄膜刺激症状
●嘔気・嘔吐
●けいれん
●皮疹

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