川嶋みどり 看護の羅針盤 第44回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

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　看護の独自の領域は、対象の疾患のレベルや年齢 や障害の程度を問わず、「個体レベルの生活行動の援助」であることへの確信を深めてきた。この生活行動援助が、保助看法における「療養上の世話」である。

　言い換えれば、病気や障害や高齢の如何を問わず、人間が、人間らしく生きていく上で欠かせない営みをできるだけ健康的に、日常性を損なわずに維持していくことを援助するのである。もしそれが自力でできない場合には、その人の健康な時のやり方にできるだけ近づけた方法で援助をする。

（出典：『看護実践 経験知から創造へ　健和会臨床看護学研究所 20 年の歩み』10ページ、看護の科学社）