DNAR指示について、よくある誤解を切り口にして解説。今回は「DNAR指示は医師が決めることだから…」という誤解です。インフォームドコンセントに同席する看護師の役割とは?
よくある誤解④「DNAR指示は医師が決めることだから…」は間違い!
看護師もDNAR指示の決定に参画できる機会を
近年、医療の方針決定のあり方(終末期医療を含む)を示した多くの指針が各所より出されていますが、どれにも共通することは、方針決定のプロセスを医療チーム(医師、看護師をはじめとする多職種チーム)で検討することが強調されている点です。
『3学会合同終末期ガイドライン』1でも、終末期の判断とその後の方針決定に至るまで医師・看護師からなる医療チームで対応することが明記されています。
日本集中治療医学会の看護会員を対象とした調査2でも、約5割が看護師を含む医療チームでDNARに関するカンファレンスをする機会を設けていると回答しています。また、同調査でICの場に看護師が参加する割合は、約9割を占めました。これらより、看護師もDNARの方針決定に医療チームのメンバーとして参画していることがうかがえます。
皆さんは、これらの数値を自施設の状況と比較して、同じくらいと感じますか?それとも自施設はもっと低い割合だと感じますか?
残念ながら著者の施設ではこんなに高い割合ではありません。DNARという重大事項の決定に、看護師が専門職の1人として参画できるような部署でのシステムづくりが必要です。
インフォームドコンセントでは“観察者”で終わらない
では、DNARの方針の検討に関するICに看護師が同席したとき、看護師はどんな役割を果たしているのでしょうか。
日本集中治療医学会の看護会員を対象とした調査の結果を図1に示しました。この調査結果を見ると、ICに同席した看護師は、患者や家族の様子を観察したり、理解度を確認するといった“観察者”の役割を担っていると認識している人が多いことがわかります。一方で、患者や家族の思いを代弁したり、思いを引き出すような質問をすることは少ないようです。
欧米を中心とした諸外国のクリティカルケア領域では、家族の思いや意向を引き出しながら、家族と医療者が一緒に方針を検討するための“家族カンファレンス”が実施され、その効果として、家族の思いが引き出せるだけでなく、不安の緩和にもつながっていることが報告されています3。
わが国では、家族も出席したカンファレンスというのはそれほど多くは行われていません。しかし、唯一ICの場が、患者や家族、医療チームが一堂に会する場であることを考えると、看護師も観察に終始するのではなく、より積極的なかかわりができるのではないかと考えています。
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