各職種に対してナースが「ココが知りたい!」と思うこと、そして各職種が「ココは私に聞いて!」と思うことを聞いてみました。

看護師から薬剤師への質問

内科病棟の勤務です。経腸栄養剤は、保険請求ができる医薬品と、保険請求ができない食品タイプがあると思います。どのような基準で選択しているのか教えてほしいです。

猫兄貴

ねこあにき

薬剤師、8年目。がん基幹病院に勤めている。現在の所属は治験部門だが、昨年まで緩和ケア
チームやNSTの担当薬剤師として活動していた。

食品は自由度が高め。医薬品は腸管の機能不全時に存在感を発揮

 経腸栄養剤には3種類あり、栄養分子のサイズが大きい順に「半消化態栄養剤」「消化態栄養剤」「成分栄養剤」に分けられます。通常の栄養補充では、主に半消化態栄養剤(エンシュア®、メイバランス®など)を使いますが、じつは基本的な部分では医薬品と食品に大きな違いはありません!

 しかし食品には、医薬品にはない自由度の高さがあります。例えば、食物繊維は食品にしか入っていません。そのため、医薬品の栄養剤と比べて下痢を起こしにくいとされています。また、術後の早期離床をめざして、免疫力の増強や炎症反応の軽減を目的とし、免疫に配慮した栄養管理ができるインパクト®はユニークな栄養剤の1つです。

 一方で、潰瘍性大腸炎などの腸管機能不全に対しては、食品の栄養剤では分子が大きく吸収が難しくなります。そのようなときに用いる医薬品であるエレンタール®は成分栄養剤で、言うなれば全部消化した状態、あとは吸収するだけの成分のみで構成されています。このため、潰瘍でボロボロになっているような腸でも負担なく栄養を吸収できます。また、長期絶食後の弱った状態の胃腸にも最適ですね。

 制度面として保険請求の有無による違いもありますが、種類を問わず、成分で栄養剤を評価できるようになるとグッと楽しくなりますよ!

多職種連携のリアル【第17回】看護師から臨床工学技士(CE)への質問

この記事は『エキスパートナース』2021年3月号連載を再構成したものです。
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