ホットフラッシュは、自律神経の調節能の低下でも生じる

 一方、ホットフラッシュは、更年期障害以外の原因でも生じることがあります。30代の人も、70代の人も、男性でも、自律神経の調節能が落ちるなんらかの原因でホットフラッシュを生じることがあります。これらは、更年期障害とはいいません。

 このようなホットフラッシュには、女性ホルモン補充療法は使いません。漢方薬など、他の方法で治療することになります。

 ほかに、今、海外では、ニューロキニン3受容体拮抗薬がホットフラッシュに対して効果がある薬として注目されています。まだ日本では認可されていませんが、認可された暁には女性ホルモンではないホットフラッシュ用の薬として、広くたくさんの患者さんに使えるのでは、と期待が高まっています2

 「ホットフラッシュかな」と思っても、発熱や体重減少を伴うときには、感染症や悪性腫瘍、甲状腺機能低下症など、治療を要する病気の可能性があります。きちんと調べたほうがよいでしょう。

1.日本産科婦人科学会,日本女性医学学会編監:ホルモン補充療法ガイドライン2017年版.日本産科婦人科学会,東京,2017.
2.Prague JK,Roberts RE,Comninos AN,et al.:Neurokinin 3 receptor antagonism as a novel treatment for menopausal hot flushes:a phase 2,randomised, double-blind, placebo-controlled trial.Lancet 2017;389(10081):1809-1820.

知っておきたい更年期障害のこと【第4回】更年期の不調②精神症状

この記事は『エキスパートナース』2022年7月号特集を再構成したものです。
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