エストロゲンは脳にも作用しているため、低下するとうつ状態に

 第1回図2のように、エストロゲンは脳にも作用しています。エストロゲンは、脳でのセロトニン活性を促し、うつから守るはたらきをしています1。更年期にエストロゲンが低下すると、うつっぽくなりがちなのはこのためです。

「以前ならすぐ忘れるようなちょっとした『嫌なこと』について、そればっかり考えてしまって頭から離れなくなる」
「以前なら気にもとめなかったようなことが気になってしかたない」
「どうにもやる気がでない」

といった表現をされる方が多いように思います。

 更年期を迎えてエストロゲンが減ったら、その後ずっとセロトニンが活性低下するわけではありません。だんだん、エストロゲンがない状態に適応して戻ってきます。つまり、落ち込みやすくなるのはいっときのことです。

 でも、「いっときだからがまんしましょう」ということではありません。自分ができるだけ調子がよくなるように工夫するのは、とてもすばらしいことです。エストロゲン補充療法が奏功する人もいますし、この時期だけ少量の抗うつ薬を使うことで快適に過ごされる方もいます。漢方薬を使いながら、自分の心と体に向き合うのもよいでしょう。