いつかは必ず迎える「更年期」。でも、いつからどんな症状がでるのか、どう対応したらいいのか、じつはそんなにちゃんと知らない、という人も多いのではないでしょうか。
 自分自身の健康のためにも、患者さんのアセスメントのためにも、ナースだから知っておきたい更年期障害の基礎知識をお届けします。

Q. 更年期障害についてよく知らないかも…更年期障害って何?

ひとこと回答
更年期におとずれる女性ホルモンの急激な変化に、体がついていかなくて不調をきたしてしまうことを「更年期障害」と呼んでいます。

女性ホルモンの波

 女性の体は、女性ホルモンの波に大きく影響を受けます(図1)。

図1 女性ホルモンの波とそれぞれのステージで注意すべきこと

 女性ホルモンには、エストロゲンプロゲステロンの2種類があります。なかでも、エストロゲンの受容体は体の全身に分布していて、体の至る所がエストロゲンの影響を受けています(図2)。

図2 女性ホルモン受容体は全身に分布している
(文献1を参考に作成)

 ホルモン状態がどのステージにあるかによって、気をつけるべき病気が変わってきますが、「変動」のある時期が、女性にとっての“弱り目”です。
 大きな波は、思春期、妊娠/出産期(成熟期)、更年期にやってきます。

 1つ目の大きな波は、思春期です。エストロゲンが急に分泌しはじめることと関連して、体つきは丸みをおびて、第二次性徴がおとずれます。

 エストロゲンの脳への影響と関連して、感性も豊かになります。思春期に、ちょっとしたことで笑い転げたり、反対にどうしようもなくイライラしたりした経験をおもちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 この時期は、自律神経機能が弱くなりがちなので、朝礼などで起立性低血圧のために、しょっちゅう倒れた経験のある人もいるかもしれません。

 思春期がすべての女性におとずれるように、更年期もすべての女性におとずれます。でも、思春期にすべての人の体調が悪くなるわけではないですよね。
 更年期も、すべての人が体調不良になるわけではありません。

 とはいえ、思春期と同じように、更年期の女性ホルモンの変動が大きい時期は、体調が悪くなりやすい時期ではあるようです

1.Drummond AE,Fuller PJ:The importance of ERbeta signalling in the ovary.J Endocrinol 2010;205(1):15-23.

「これは更年期障害かも」と疑うサインってあるの?【知っておきたい更年期障害のこと:第2回】

この記事は『エキスパートナース』2022年7月号特集を再構成したものです。
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