相手の考えや気持ちを正確に知ろうとする言葉を選択する
不安のある患者さんに対しては、「痛みがいつまで続くのかご心配なんですね」など、相手の気持ちとその根拠となった考えを、言葉として相手に返して確認していきます。
考えと気持ちを共有できたら、「○○については、私たちもより注意して観察をしていきます」など、確認できた患者さんの考えに対してのみ、情報提供や対応を提案していきます。こうした対応をする看護師に、患者さんは「自分の状態を知ったうえで対応してくれているのだから、安心だ」と感じやすくなり、訴えが減ります。
不満のある患者さんにも同じように考えや気持ちを確認していきます。ただし、不満をもった患者さんの特別扱いや、問題行動への同意や許可は避けることが必要です。
例えば、他の患者さんに不満をもつ患者さんの「あのじいさん汚いから、洗面所使うなって言っておいた」などの発言へは、“考えや気持ちを言葉で伝える”ことのみを許容しますが、行動への同意や許可は避けます。
「嫌ですよね」という返事は意見への同意ともとられますが、「嫌だと思われたんですね」は同意にはなりません。そのうえで、「なぜ自分ががまん(他人と洗面所を共有すること)をしいられるんだ、と腹が立つ」「入院になって悔しい」などの不満の背景を具体化して共有します。こうすることで、不満による訴えは減るかもしれません。
この記事は『エキスパートナース』2022年6月号連載を再構成したものです。
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