さまざまな人と接する機会の多いナースが、円滑な関係構築のためにできる“ちょっとした言葉選びの工夫”を紹介します。今回は、落ち込んでいる患者さんを見かけたときの対応や声かけなどです。
落ち込んでいる患者さんには、どう対応する?

安易な励ましはNG
病状説明を聞いて「思ったより悪い状態だった」「治療が難しいと言われた」など、病院では患者さんが落ち込むできごとは少なくありません。
数日経っても、見るからに沈んでいる患者さんを見たとき、「元気だしてください」と患者さんに言いたくなるかもしれません。
しかし、これは患者さんに対する看護師の“気の毒だ”という感情、看護師自身の心理的負担を軽くしようとしているにすぎません。
安易に励まされた患者さんは、誰もが感じる不安や怒りなどの気持ちに蓋をして、心理的により病的な状態に陥ってしまう可能性があります。
または、「わかってもらえない」と孤立感をもってしまうこともあるでしょう。看護師には、患者さんの考えや気持ちを理解すること、いわゆる共感が求められます。
看護師
「つらいとは思いますが元気をだしてくださいね!」
患者さん
「……」
落ち込んでいる患者さんへの正しい声かけ
相手の感情や考えを正しく理解する
では、どのように患者さんの話を聴くことが“共感”なのでしょうか。ここでは「言葉を用いて相手の感情や考えを正確に理解する」ことを共感とします。
より正確に自分の気持ちや考えを理解しようとしてくれる相手に対して、人は“話しても安全だ”と感じやすくなります。そして、安全に話せることで、自身の考えや気持ちをはじめて整理することができます。
もちろん、1人ひとり育ちも状況も違う人間です。確かめずに相手の考えや気持ちを正確に理解することは不可能です。したがって、正確に理解するためには相手の考えや気持ちを“決めつけず”に“教えていただく”ことが必要になります。
具体的な共感の方法は?
最初に患者さんの気持ちや考えを想像して言葉にします。患者さんはどんな気持ち(「悔しい」「絶望した」など)か、どんな考え(「もう治療するのをやめてしまおうか」「家族に迷惑がかかる」など)か、より具体的な言葉にしていきます
次に、それを患者さんに伝えて確かめていきます。例えば、「もう働けないと思って悔しさを感じられているのですね……」などです。人間には間違いを正したくなる“間違い指摘反射”があるため(【第1回】参照)、想像が外れていれば「いや、家族に迷惑をかけるのが困るんだ」などと患者さんの考えを反射的に返してくれます。
そして、「申し訳ない気持ちなんですね」と患者さんの言葉の背景の感情を看護師の想像した言葉で確認していきます。
これを繰り返して患者さんの「感情や考えを正確に理解」していきます。
また、確認するときの言葉の語尾はひとりごとのように小さく消え入るようにすると、より相手が答えやすく、間違い指摘反射が生じて正確な考えを返しやすくなります。もちろん安心して話せるよう、個室か他の人には聞こえない音量で会話します。
看護師
「私と少しお話してみませんか?」
患者さん
「……そうですね」
看護師
「もう働けないと思って悔しさを感じられているのですね……」(患者さんの気持ちや考えを想像して言葉にする)
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