理想のチーム医療をめざす日々から、チーム医療を受ける立場に
そのあとで「患者となって、チーム医療のいいところとそうでないところを感じた?」と聞かれました。
チーム医療は自分自身の大きなテーマとしてきました。看護師さんたちと一緒にストーマ管理をしていたのがチーム医療の最初で、その後、栄養管理、化学療法、クリニカルパス、感染対策、緩和ケアなど、患者さんのために理想のチーム医療をめざしてみんなで取り組んできたつもりです。
ただ最近は「何のためのチーム医療なのか」を悩む場面も少なくありませんでした。医療者の業務軽減、役割分担やリスクマネジメントなどもチーム医療の目的であり、広い意味では患者さんのためと思われます。しかし普及とともに、「○○さんの治療」から「多くの患者のうちの一人の治療」に対象が変化してきているように思います。「チーム医療は一人ひとりの患者さんにとって本当にメリットがあるのだろうか?」と考え始めたときに、自分が患者になってしまいました。
チーム医療が進んで、看護師のみならず薬剤師、栄養士、理学・作業療法士、MSW(メディカルソーシャルワーカー)などがどんどん表に出てきました。そして褥瘡対策チームやNST(栄養サポートチーム)など組織横断的な専門家チームができたことにより、「どこに相談すればよいか」が明確になりました。
医学は日進月歩以上に進歩しており、スタッフがすべての領域を網羅することは難しくなってきています。「どこに相談すればよいか」がわかりやすくなったのは、チーム医療が一般的になったからこそだと思います。今回の入院でも、本当にたくさんの職種の方々にお世話になりました。