「がんゲノム医療を受けたい」への上手な答え方
冒頭の親戚のおじさんの問い「がんゲノム医療を受けたいんだけど、どうすればいいかな」に対する答えは、私であれば以下のように進めます。
①まず診断名やステージ(限局期か進行期かだけでも)を確認し、手術や放射線など根治治療が可能なものや、標準的な抗がん剤治療があれば、そちらのほうがすぐれた治療である可能性が高いことを説明し、それらの効果がなくなった後の手段としてのがんゲノム医療を提案する
②がんゲノム医療は残念ながら完全ではなく、検査を受けても遺伝子変異に対する薬を使用する患者さんは多くないことを前置きしながら、近所のがんゲノム医療連携病院をGoogleなどの検索サイトで検索してあげる
※中外製薬の「おしえて がんゲノム医療」というサイトがとても見やすい2。また、国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター(C-CAT)のホームページにも情報が掲載されている3。
③主治医と、②で見つかった病院へのセカンドオピニオンや紹介などの相談をしてもらう
これらが、主治医との関係を崩さず、がんゲノム医療への希望を過度に抱かせず、その一方で、道をつくってあげられるような回答になるでしょうか。
それぞれの立場でできることは違っても、患者さんの不安を少しでも軽減したり、主治医とのコミュニケーションが少しでも円滑に進むようになったり、ひいては患者さんを少しでも幸せにするために、それぞれの立場に必要ながんゲノム医療の知識を少し勉強してみることからはじめませんか?
- 1.厚生労働省:がんゲノム医療提供体制におけるがんゲノム医療中核拠点病院等 一覧表(令和5年11月1日現在).
https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/common/pdf/Hospitals20231101.pdf(2023.11.20アクセス)
2.中外製薬ホームページ:おしえて がんゲノム医療.
https://gan-genome.jp/(2024.2.15アクセス)
3.国立がん研究センター がんゲノム情報管理センターホームページ:がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院について(2024.2.15アクセス)
https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/hospital_list/
「医療・看護の知っておきたいトピック」シリーズの記事はこちら
この記事は『エキスパートナース』2020年4月号の記事を再構成したものです。
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