褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。今回は骨突出が著明なときの、クッションを活用した褥瘡予防について紹介します。
この記事は『エキスパートナース』2018年6月号特集を再構成したものです。
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骨突出が著明なときは褥瘡リスクが高い

皮下脂肪が少なく骨の突出部が複数個所にみられるため、ベッドと下肢、また下肢同士で接触する部位に隙間が生じやすく、姿勢の安定が得られない状況です。足を小さく動かしているのは、リラックスできないことが関与している可能性があります。
姿勢の不安定さやつらさ(苦痛)は、接触部の圧迫や、摩擦やずれによる負担を生じるだけでなく、心理的ストレスを招くことにもなります。
色素沈着や部分的に乾燥している部位、あるいは褥瘡の痕跡などがないかを確認し、姿勢の特徴やその患者さんにとっての好発部位を考えます。
褥瘡予防のためのクッションの選び方
隙間の形状や骨の凹凸に沿わせて、厚みの調整ができるやわらかいクッションを選択します。 クッションの入れ方を、2通り紹介します。1つは、段差なく、接触部を連続してサポートできるロングタイプのクッション(図1)を使用する方法です(図2)。


もう1つは、やわらかい複数のクッションを組み合わせて、中身の厚みを調整して姿勢と関節の角度に沿わせるようにして使用する方法です(図3)。

褥瘡予防のためのクッションの調整
いずれの場合も、クッションの重さで窮屈感が生じないように、軽いタイプで底づきしにくいものを使用します。
骨の突出が強いため、側臥位では、反対側の突出部に負担が生じない角度を考慮します。患者さんの自然な関節可動域を考慮して、隙間に合わせて厚みを調整してクッションを沿わせます。
上半身と下半身の角度がねじれないように、できるだけ体軸と左右バランス、関節の自然な屈曲位や拘縮の角度を考えて整えます(図2)。
①関節の動き、向きに逆らわない
②力が抜けたときの自然な屈曲角度に沿わせる
③リラックスできる姿勢に沿わせる
④クッションとクッションの間に隙間をつくらず、連続して使用する
⑤基底面積を広くとる(姿勢を安定させ、時間経過でくずれないように)
- 1.日本褥瘡学会 編:科学的根拠に基づく 褥瘡局所治療ガイドライン.照林社,東京,2005:6.
2.日本褥瘡学会学術教育委員会:褥瘡発生要因の抽出とその評価.褥瘡会誌 2003;5(1-2):139.
- 1.須釡淳子,真田弘美,中野直美,他:褥瘡ケアにおけるマルチパッド型簡易体圧測定器の信頼性と妥当性の検討.褥瘡会誌 2000;2(3):310~315.
2.田中マキ子:褥瘡を防ぐために一番大事な体圧管理.新まるわかり褥瘡ケア,照林社,東京,2022.
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