白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など、血液がんの最新の治療・ケアについて解説。今回は抗がん剤曝露予防を紹介します。病棟内で汚染に気をつけるべき場所や、抗がん剤がこぼれたときの対処を紹介します。

病棟内で汚染に気をつけたい場所

 部署では、抗がん剤の保管場所、テーブル、輸液ポンプ、点滴支柱台、パソコンなどが抗がん剤に汚染されているというデータの報告もあります。

 また、患者さんに投与された抗がん剤は尿や便から排泄されるので、排泄物への接触も曝露の原因となります。トイレの周囲は、尿の飛び散りなどで汚染している可能性が高いです(図1)。

図1 トイレでの汚染に気をつけたい場所

図1 トイレでの汚染に気をつけたい場所

 抗がん剤の投与、輸液ボトルの交換、注射針の抜去、患者さんの排泄物の取り扱いなどの業務を行っている看護師は、いくつもの危険にさらされています。曝露はほとんど五感で感じることがないため、知らないうちに曝露してしまいます。

 抗がん剤にかかわる看護師自身が汚染から身を守り、汚染を広げないように意識しなければ危険性は高まり、たとえ曝露量が微量であっても長期間繰り返し曝露する機会により、健康被害のリスクは高まります。

 投与管理時だけでなく、運搬、準備、廃棄など一連のプロセスにおいて注意が必要なのです。 個人防護で身を守るだけでなく、日々のこまめな環境の清掃も必要です。

抗がん剤がこぼれたときの対処法

 抗がん剤がこぼれたときは、こぼした本人以外はそれに気づきにくいため、こぼれを周囲に告げ、他者が近づかないように注意しなければなりません。気づかずに触れたり踏んだりすると、汚染は知らぬ間に広がります。

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