この春に発売された新刊書籍『急性期病院の看護師1200人の?から生まれた 看護のギモン』(西口幸雄、久保健太郎 編著、照林社発行)は、臨床看護師へのアンケートで集まったリアルな疑問に、各領域の専門職が知見やエビデンスをもとに回答。カテーテル・ドレーン、薬剤、呼吸管理、急変対応など、18テーマ・155項目をのことがわかる「看護のためのQ&A事典」です。
今回、特別に試し読み記事を公開しました。ぜひ、この機会に読んでみてください!
薬剤を生食100mLなどで溶解するときと、ショットでいく場合があるのはなぜ?添付文書に「溶解」と書いていないものでも溶解することが多いけれど、よいの?
メインと側管からの点滴は、同時に落としていいの?片方ずつがいいの?(側管が多ければメインが止まる時間が長くなるので)
胸腔ドレーンの呼吸性移動が消失した。どうすればいい?
カテーテル・ドレーンのギモン
カテーテルやドレーンは、どの診療科や病棟であっても扱う機会があるからでしょうか、薬剤に次いで2番目に疑問が多いテーマでした(カテーテル・ドレーンは21項目、薬剤は32項目)。
特に尿道カテーテル、中心静脈カテーテル、胸腔ドレーンに関する疑問が多く寄せられました。
(久保健太郎)
バルーンカテーテルは根元まで挿入してはいけないの?
答える人
医師(泌尿器科) 羽阪友宏
●抵抗がなければ、基本的には根元まで挿入してください。
バルーンカテーテルは、バルーンの少し先に側孔が空いており、側孔部分が尿の貯留した膀胱内に達すると、通常、尿の流出を確認できます。その時点では、側孔のみが膀胱内に到達しており、バルーン自体は、まだ尿道内に位置している可能性があるので、もう少し挿入してからバルーンを拡張させれば、バルーンカテーテルの留置は完了します。
つまり、厳密には、根元まで挿入する必要はありませんが、膀胱内に尿が十分貯留していない場合や、混濁や血塊により流出が不良になる場合は、バルーンカテーテルの側孔が膀胱内に達しても、尿の流出が確認できないことがあります。また、十分に挿入されていない状態でバルーンを拡張させると、尿道を損傷する可能性があります。そのため、抵抗がなければ、根元まで挿入することを、一般的には推奨しています1)。
こんなときは要注意
特に根元近くで抵抗がある場合は、バルーンカテーテルの先端で膀胱壁を強く圧迫している可能性があります。挿入時の膀胱刺激や、膀胱粘膜の損傷、血尿の原因になり得ますので、注意が必要です(経験上、ラテックスバルーンよりも、硬いシリコンバルーンで、膀胱壁を圧迫するように感じます)。
それより手前の球部尿道(尿道の曲がり角、陰茎の付け根あたり)で抵抗や疼痛、外尿道口からの出血を認める際は、バルーンカテーテルが屈曲していたり、偽尿道を形成する可能性があります。それ以上は挿入せず、専門的な医師に相談してください。
- 1)多賀峰克:おしっこが出なくなりました-尿閉—導尿・バルーンを入れるときのコツ.medicina 2023;60(4):196-200.
その他のギモンは書籍で!
急性期病院の看護師1200人の?から生まれた 看護のギモン
西口幸雄、久保健太郎 編著
A5・352ページ・定価2,970円(税込)
照林社
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