これだけは気をつけたい看護ケアのポイントを取り上げます。今回は点滴ルートを確認せずに薬剤を投与する危険性について解説。カテコールアミン系薬剤が急速投与されることにより、不整脈の誘発、致死的不整脈の出現の危険があることなどについて解説します。
点滴ルートを確認しないまま薬剤を投与してはいけない!
患者の状態
●食道切除術後
●中心静脈カテーテル(ダブルルーメン)から「カテコールアミン」「輸血」が持続投与されている
医師の指示
●「抗生剤を100mL/時で静脈投与」
この場合、抗生剤などが側管から点滴投与されることでカテコールアミン系薬剤が急速投与されることになり、血圧上昇・頻脈となります。
不整脈の誘発、致死的不整脈の出現の可能性があります。
側管注で投与速度が変わる
カテコールアミン系薬剤はシリンジポンプで厳重な流速管理を行っていますが、側管から抗生剤を100mL/時で投与することにより、ルート内のカテコールアミン系薬剤が抗生剤に押されてしまい、急速投与となります。
本事例で投与されていたカテコールアミン系薬剤は心収縮力を増強させるはたらきがあります。また、末梢血管を収縮させ後負荷を上昇させる作用や、心筋酸素消費量を増加させる作用もあります(表1)。そのため、急速投与されることで血圧上昇や頻脈を引き起こし、不整脈誘発、致死的不整脈出現の可能性があります。
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