医療事故につながる可能性のある危険な薬に注意!カリウム製剤やさまざまなハイリスク薬について、危険性や使用時の注意点、安全な使い方を紹介する連載です。

【第1回】カリウムの体内での役割をわかりやすく解説

〈目次〉
●細胞のはたらきは、イオンの出入りによって調整されている
●カリウムイオンの濃度差によって、細胞の安定状態が維持される
●心拍を安定に保つためにカリウムが重要
●脱分極と再分極

【第2回】カリウムの急速静注のリスクとは?不整脈・心停止の危険性

〈目次〉
●普段の経口摂取でのカリウムの量ならば危険でない
●カリウムが多すぎると膜電位が不安定になり、不整脈や心停止につながる
・カリウムの急速静注で起こること

【第3回】静注用カリウム製剤の正しい使い方と注意点

〈目次〉
1)できるだけ、プレフィルドシリンジタイプを使用する
2)末梢静脈からと、中心静脈からで、投与方法が異なる

【第4回】カリウム製剤を末梢静脈から安全に投与するには?

〈目次〉
●カリウム製剤を末梢静脈から投与する方法
・濃度
・投与量
・投与速度
・実際の投与方法
・輸液製剤中のカリウムイオン量

【第5回】カリウム製剤を中心静脈から安全に投与するには?

〈目次〉
●カリウム製剤を中心静脈から投与する方法
・対象患者
・投与量
・投与速度
・濃度
・実際の投与方法

【第6回】カリウム製剤の病棟管理法:定数確保廃止とプレフィルドシリンジ製剤の使用

〈目次〉
●病棟での定数確保の廃止
●プレフィルドシリンジタイプのキットを使用する

【第7回】ハイリスク薬とは?定義・危険性・使用時の注意点を解説

〈目次〉
●ハイリスク薬は“危ない”ポイントがある薬
● “危ない”ポイントは薬ごとに異なっている
1)ハイリスク薬の定義は、医療機関によって異なる
2)多数の薬剤がハイリスク薬であると言える
●同じハイリスク薬でも危険なポイントが違う
・抗リウマチ薬 メトトレキサート(リウマトレックス®
・蛋白分解酵素阻害薬 ガベキサートメシル酸塩(エフオーワイ®

【第8回】抗不整脈薬の急速投与・過量投与に注意!正しい使い方とは?

〈目次〉
●抗不整脈は急速投与・過量投与すると、心停止に
・危険な理由:心機能が抑制されてしまうことがある
・主な抗不整脈の種類と特徴
●注意するポイント:投与速度が速かったり投与量が多いと、心停止や不整脈が誘発される
1)急速投与に注意が必要な薬剤
2)過量投与に注意が必要な薬剤
●正しい用法・用量を確認し、飲み忘れ時の患者指導もしっかり行う

【第9回】筋弛緩薬の呼吸停止リスクと安全に使うためのポイント

〈目次〉
●筋弛緩薬は取り違えて使用すると呼吸停止に
・危険な理由:呼吸筋を麻痺させる作用をもっている
・主な筋弛緩薬の種類と特徴
①神経筋接合部でニコチン受容体の機能を低下させる
②筋肉細胞のCa 2+濃度上昇を抑える
③脳と脊髄に作用して骨格筋を弛緩させる
●外観の類似に注意する
●誤薬投与がないよう、ダブルチェック等を徹底する

【第10回】抗てんかん薬過量投与の危険性:昏睡・血圧低下を防ぐには

〈目次〉
●抗てんかん薬は過量投与により、昏睡状態や血圧低下などに
・危険な理由:眠気やふらつきなどの症状や、過量投与による昏睡などの可能性がある
・医師の指示や添付文書に基づいた服用を心がける
1)服用中の眠気や中止によるてんかん発作に注意
2)切り替えの際は、製剤量と成分量を正しく換算
3)テグレトール®とラミクタール®では重篤な皮膚障害に注意
4)抗菌薬の併用により、抗てんかん薬の作用が減弱することがある
・使うときのポイント:必要に応じ、薬物血中濃度測定を実施する

【第11回】テオフィリン製剤の副作用:けいれん・意識障害・不眠のリスクと注意点

〈目次〉
●中枢神経興奮が強すぎると、けいれん、意識障害、不眠などに
・危険な理由:中枢神経興奮作用による、けいれんや意識障害を生じる
・薬物血中濃度に影響を起こしそうな使用方法に注意する
1)テオフィリン製剤の代謝に影響する薬剤の併用に注意する
2)徐放製剤をすりつぶして使用しない
3)アミノフィリンの注射薬から経口薬に変更する際は、成分量の換算に注意する
4)服用時はエナジードリンクなどカフェインの摂取を控える
・使うときのポイント:薬物血中濃度が高くならないよう、指示通りの使用を行う

【第12回】抗凝固薬のリスク:出血や脳梗塞を防ぐための注意点と正しい使い方

〈目次〉
●抗凝固薬は正しく服用・中止しないと、出血や脳梗塞に
・危険な理由:血液凝固作用により、出血を起こしやすくなる
・注意するポイント:新規経口抗凝固薬に気づき、術前の休薬期間も確認する
1)従来のワルファリンに加え、新規経口抗凝固薬を知っておく
2)術前の休薬と術後の再開の時期に注意する
・使うときのポイント:術前の休薬や再開を忘れないようにする

【第13回】ジギタリス製剤の死亡リスクとジゴキシン中毒:注意点と正しい使い方

〈目次〉
●ジギタリス製剤は薬物血中濃度が高すぎると、死亡に至ったり、ジゴキシン中毒に
・危険な理由:強力な作用による死亡や、ジゴキシン中毒の危険性がある
・注意するポイント:少しの量や規格の違いで、副作用や中毒の危険が高まる
1)用量が非常に微量なため、投与量を誤りやすい
2)腎機能低下患者や剤形変更時は、薬剤血中濃度が変化しやすい
・使うときのポイント:嘔吐などがないか、投与後はしっかり観察する

【第14回】向精神薬を安全に使用するには?精神的・身体的依存と副作用に注意

〈目次〉
●向精神薬は長期投与すると、精神的・身体的依存、過鎮静などに
・危険な理由:長期投与により、精神的・身体的依存が生じることがある
1)観察の指示が適切になされない場合がある
2)対症療法的投与がそのまま続いてしまうことがある
・注意するポイント:多様な副作用をもっている
1)抗コリン作用による副作用
2)悪性症候群
3)過鎮静・呼吸抑制
・使うときのポイント:バイタルサインの変化を見落とさないよう観察を怠らない

【第15回】糖尿病治療薬の低血糖リスク:けいれん・昏睡・死亡を防ぐための注意点

〈目次〉
●血糖コントロールできていないと、低血糖によるけいれん・昏睡・死亡などに
・危険な理由:低血糖脳症や死亡に至ることもある
インスリン製剤の種類と血中インスリン濃度の変化の例
・経口血糖降下薬の分類
・低血糖の代表的な症状
・注意するポイント:患者さんの自己管理能力と、急な低血糖症状
1)患者さんに糖尿病や治療のことを理解してもらうようにする
2)急な昏睡状態に陥ったり、無自覚低血糖の場合がある
・使うときのポイント:患者さんの状態に応じて、血糖測定を追加する

【第16回】看護師が注意すべき抗がん薬副作用を防ぐための観察ポイント

〈目次〉
●細胞毒性により、好中球減少や便秘・イレウスに
・危険な理由 正常な細胞を攻撃(細胞毒性)してしまう
・注意するポイント 看護師の観察で防げる副作用がある
1)血管外漏出を疑った場合は、すみやかに医師に報告する
2)末梢神経障害やイレウス等がないか観察する
3)抗がん薬による曝露予防対策をきちんと行う
・使うときのポイント 決められたレジメンにのっとって確実に投与する
1)レジメンは、許可を得て病院ごとに登録されている
2)レジメン通りの投与ができるよう、自身の業務量なども調整しておく

【第17回】免疫抑制薬の注意点:感染症・肝炎リスクと柑橘類のCYP3A4阻害

〈目次〉
●免疫機能が低下すると、感染症や肝炎の再発に
・危険な理由 免疫機能に影響するため、感染症や肝炎ウイルス再活性化の原因となる
・注意するポイント 患者さんが柑橘系の果物を摂取しないようにする
・CYP3A4阻害による薬効・副作用の増強
・使うときのポイント 投与量が細かく決まっているため、薬剤師との協働や、チェックを確実に行う
1)疾患や年齢などが同じでも、患者さんによって投与量が異なる
2)同じ薬でも、初期投与量と維持量が異なる

【第18回】インスリン製剤の投与量ミスに注意!単位表記がポイント

〈目次〉
●専用の注射器を使用しないと過量になり、低血糖による昏睡や意識レベルが低下
・危険な理由 投与量が多いと低血糖の危険がある
・注意するポイント 専用シリンジを使用し、医師の指示を毎回確認する
1)インスリン製剤のバイアル製剤には専用のシリンジがある
・インスリン製剤専用のシリンジと一般のシリンジの単位
2)業務の基本の「6R」を徹底する
3)患者さんの状態によって投与量を変更するため、医師の指示を毎回確認する
・使うときのポイント 単位や製剤の誤認がないよう、指差し確認などを怠らない
1)インスリン製剤の使用量は「単位」で表記される
2)インスリン製剤の種類は5つ

【第19回】ヘパリン製剤の過量投与を防ぐための注意点

〈目次〉
●単位数を誤ると薬効が期待できない、または思わぬ出血が
・危険な理由 過量投与により出血につながる
・注意するポイント インシデントが発生しないように環境を整備する
・使うときのポイント 持続点滴の際には、製剤、適応、投与経路などを要確認
1)ヘパリン類の種類・用量によって適応症・投与経路などが異なる
2)バイアル製剤は分割使用するため、投与量が多くならないようにする
・ヘパリン製剤の適応症と投与経路

【第20回】トロンビン液の静脈投与は禁忌!リスクと注意点

〈目次〉
●トロンビン液は血管内に投与すると血栓に
・経口用トロンビン液を血管内投与した事例

【第21回】ベナンバックス®のワンショット静注はNG!正しい投与方法と注意点

〈目次〉
●ワンショット静注すると低血圧や不整脈に
・吸入指示のベナンバックス®をワンショット静注した事例
・ベナンバックス®注用300mgの使用方法

【第22回】高カロリー輸液は末梢静脈投与NG!その理由とは?

〈目次〉
●高カロリー輸液を末梢静脈から投与すると、血管損傷・組織壊死に
・フルカリック®を末梢投与した事例

【第23回】麻酔薬投与時のルート取り違えに注意!

〈目次〉
●シリンジェクター®は、硬膜外麻酔ルートと静脈ルートのどちらにつなぐのかを確認
・患者自己調節鎮痛法

【第24回】インスリン製剤を高カロリー輸液に混注するリスク

〈目次〉
●職場・環境の変化時、それまでの方法がミスにつながることがある
・エルネオパ®を開通せずにインスリン製剤を混注した場合に生じうる事故
●新たに配属された看護師には、イチから教えるようにする

【第25回】ハイリスク薬使用時の指示伝達ミスを防ぐには?

〈目次〉
・ERや外来からの緊急入院の場合…
●慌ただしい現場では、指示の聞き漏らしが起こりやすい
●メモや口頭指示受け用紙を活用する

【第26回】ハイリスク薬投与中の指示・手術予定変更に注意

〈目次〉
●予定変更の場合があるので薬の中断は必ず医師に確認を
●指示・予定の変更の可能性に留意して対応する

【第27回】ハイリスク薬使用時に確認すべき薬剤情報とは?

〈目次〉
●看護師が薬剤取り扱い時に、留意すべきこと
●薬剤を扱ううえで、看護師が答えられるようにしておきたい事柄
①処方の指示が出たとき
②投与直前
➂投与後
●ハイリスク薬の処方の指示が出たときにチェックすること
1)用いる薬が「ハイリスク薬」であるかどうか、薬剤情報などで確認する
2)その患者さんにとって、危険がないかを考える
3)投与速度や投与量に注意が必要でないかを確認する
4)自分自身への影響がないかも考慮する
●ハイリスク薬の投与直前にチェックすること
●ハイリスク薬の投与後にチェックすること

【最終回】ハイリスク薬投与後の観察ポイント:アナフィラキシーに注意

〈目次〉
●薬剤投与中・投与後の、患者さんの変化を見逃さないようにする
●アナフィラキシーは短時間で死亡にいたるため、特に注意
●薬剤ごとの注意点
1)免疫抑制薬は感染徴候に注意する
2)ジギタリス製剤による嘔気・嘔吐などは血中濃度モニタリングで防ぐ
3)インスリン製剤では低血糖症状がないかを観察
4)抗がん薬などは発赤や腫脹等がないか観察する

そのほかの連載はこちら