医療事故につながる可能性のある危険な薬に注意!今回は投与経路を間違えると重大な事故が起こる、高カロリー輸液について。末梢静脈からの投与による血管損傷・組織壊死のリスクや注意点を解説します。
高カロリー輸液を末梢静脈から投与すると、血管損傷・組織壊死に
高カロリー輸液は浸透圧がきわめて高いため、通常は血流の多い中心静脈から投与しなければなりません。
誤って末梢静脈から投与すると、容易に血管損傷を起こします。また、血管外に漏出してしまうと、その高い浸透圧により漏出部位の細胞も障害され組織壊死を起こします。例えば、フルカリック®3号の浸透圧比は約6と、私たちの体液に比べてきわめて高い浸透圧です。また高カロリー輸液のなかには、11を超えるようなものもあります。
事例①では、CVポート感染のため、昼間はポートをバンコマイシンでロックし、末梢静脈ルートと交互に使用していたこと、あるいは、輸液交換時にCVポートが着衣で隠れ見えなかったことなど、例に漏れず事故につながる伏線がいくつもあり、結果として事故になっています。
もしかしたらみなさんも高カロリー輸液を末梢から投与した事例を自施設で経験されたことがあるかもしれません。知識不足も原因の1つであることから自施設での採用薬のうち、「何が高カロリー輸液なのか?」を把握することも防止に役立つと思います。
この記事は会員限定記事です。