医療事故につながる可能性のある危険な薬に注意!今回はハイリスク薬の1つである、ジギタリス製剤を取り上げます。死亡のリスクやジゴキシン中毒の危険性と症状、使用時の注意点を解説します。
ジギタリス製剤は薬物血中濃度が高すぎると、死亡に至ったり、ジゴキシン中毒に
危険な理由:強力な作用による死亡や、ジゴキシン中毒の危険性がある
ジギタリス製剤は、主に心筋に作用し、その収縮力を増強することから、古くから強心薬として使用されてきました。
「ジギタリス」は、ジギタリスという植物に含まれる成分であるジゴキシンとその類縁物質(メチルジゴキシン、デスラノシド、ラナトシドC)の総称です。葉などに含まれる成分であるジゴキシンの薬理作用は強力であり、摂取量によっては命を落とす危険性もあります。
また、過量投与によりジゴキシン中毒となることがあり、次のような症状が起こることがあります。
ジゴキシン中毒の症状
●不整脈
●消化器症状(悪心・嘔吐など)
●視覚異常(光がないのにちらちら見える・黄視など)
●めまい
●頭痛
●失見当識
●精神神経症状(錯乱など)
注意するポイント:少しの量や規格の違いで、副作用や中毒の危険が高まる
1)用量が非常に微量なため、投与量を誤りやすい
ジゴキシンの薬用量は成人でも0.0625~0.5mgとごく微量であり、小児に至ってはさらに微量になります。
そのため、“医師が処方時に用量を間違えるケース”“薬剤師が調剤時に誤った薬用量(特に散剤)で量り取るケース”“看護師が規格や投与量を誤って投与するケース”など、数多くの事故事例が報告されています。
特に散剤で投与される場合には見た目で成分量がわからないため、薬剤を見るだけでは投与量チェックが困難であることも、事故を防止しにくい原因として挙げられます。
この記事は会員限定記事です。