投与量が単位で示されるハイリスク薬であるヘパリン製剤について、過量投与による出血のリスク、インシデント事例、使用時や取扱いの注意点を紹介します。
ヘパリン製剤の過量投与の危険性とは?
心筋梗塞、脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症など、病気が発生した場所は異なりますが、共通しているのは「血栓(血の塊)」ができ、それが血管を詰まらせていることです。血管を詰まらせないようにするために、ヘパリン製剤は、主に、患者さんが重篤になった場合や急変したとき、もしくは手術時などに使用されます。
単位数を間違えて過量投与したりすることで、期待される効果が現れなかったり、過剰な効果で思わぬ出血を起こしたりします。
ヘパリン製剤のインシデント事例
ヘパリン製剤は生理食塩液や輸液に混注し、持続的に使用されるケースが大半です。そのため、ほかの製剤と取り違えたり、指示された用量を間違えたりする事例が散見されます(事例①、②)。
普段からヘパリン製剤を混注する作業台の整理整頓や用量を指差し確認するなど、インシデントが発生しない環境作りが大切です。
事例① 薬液が不足となった事例
●術後、ヘパリン5,000単位(5mL)+生理食塩液50mL(全量55mL)開始の指示。
●シリンジポンプは50mL以上の液量のシリンジをセットできないため、看護師は生理食塩液は45mLと思い込んだ。
●そのため、ヘパリン5,000単位(5mL)+生理食塩液45mL(全量50mL)として調製・投与。←指示量よりも高濃度に
●液量が少なく、次の更新時間までに薬液がなくなった。
事例② 過量投与となった事例
●ヘパリン10,000単位(10mL)を24時間持続投与する指示を出す際、主治医はヘパリン原液4,000単位(4mL)/時間を指示。←2.5時間で、24時間で投与すべき10mLに達してしまう
●担当看護師は伝票の指示に疑問をもち確認したが、医師が伝票通り投与するよう再度指示をしたためそのまま開始。
●約12時間後、患者さんの創部からの出血が認められヘパリンの過量投与に気づいた。
ヘパリン製剤を使用する際のポイントは?
ヘパリン製剤は、「重症度、医療・看護必要度」におけるA項目「7.専門的な治療・処置」に含まれます(⑨ヘパリン製剤を含む抗血栓塞栓薬の持続点滴)。冠動脈疾患、肺血栓塞栓症、脳梗塞、深部静脈血栓症等の静脈・動脈に血栓・塞栓が生じている、もしくは生じることが疑われる急性疾患の患者さんに対して、血栓・塞栓を生じさせない、もしくは減少させることを目的に使用されています。
看護師は、抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用において、その適応症や患者さんの状態、使用中における問題点などを観察・把握しなければいけません。
1)ヘパリン類の種類・用量によって適応症・投与経路などが異なる
表1-①に示すように、ヘパリン製剤は成分によって適応症が異なります。また、同じ製剤(フォンダパリヌクスナトリウム)であっても、用量によって適応症が異なります。
成分によって投与経路も異なっているため(表1-②)、投与時に誤りがないよう確認が重要です。
この記事は会員限定記事です。



