知っているようで意外と知らないバイタルサイン数値の“測定手技”や“判断の根拠”。今回は血圧の24時間モニタリングについて紹介。必要性や観察のポイント、注意点などを解説します。

血圧の24時間モニタリング

24時間モニタリングの必要性

 「モニタリング」は患者さんの身体のなかで起こる変化を、持続的に観察し把握する技術です。

 Bradyらは1、心停止をした入院患者約7万人のうち、心停止をした場面で「心電図」「パルスオキシメーター」「呼吸」などのモニタリング装置を装着していたか、そして心停止を目撃したか、について“退院率”と“退院時の脳機能”について調べています。

 その結果、「モニタリングを装着していない、そして目撃もされなかった」グループと、「モニタリングを装着していた、目撃した」グループを比べると、後者は退院率が高く、退院時の神経学的所見は良好でした。 したがって、救急やICU、NICUなど患者の重症度が高い、もしくは急変の可能性が高い場合は24時間モニタリングをしていることが多いでしょう。

24時間モニタリング時の観察・注意点

 では、血圧を24時間モニタリングしている患者さんに対する看護ケアを考えてみましょう。

使用前の機器の点検

 まずは、機械ですから点検として、電源も含めて「接続が外れていないか」、電子カルテと連動している場合は「データが取り込まれているか」、記録用紙を使用している場合は「用紙がなくなっていないか」を確認することが基本です。

カフサイズの選択

 患者さんに適した血圧計のカフサイズを選びましょう。入院中の平均年齢56.2歳の男性患者20名を対象に、一般的に用いられている「13cm」のカフ以外に、3種類の幅(「5cm」「9cm」「17cm」)のカフで血圧測定を行った実験があります2

 その結果、カフの幅が狭いほど、収縮期血圧と拡張期血圧は高くなりました。そして、本対象者の上腕周囲径を測定し理想のカフ幅(上腕周囲長の40%とされる)を計算したところ9.8cmとなり、一般的に使用していた13cm幅ではなく、適切なカフ幅の選択になっていなかったことが推察されます。

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