iDeCoとDC制度の違いを看護師専門FPがわかりやすく解説。取り崩し運用の考え方や、ナースに投資をしているかどうかを尋ねたアンケートの結果も紹介します。

前回の記事↓
看護師のための投資信託とNISA入門

iDeCoとDC制度の違いとは?

 NISAとともによく話題にされるのが「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」。iDeCoは自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は全額所得控除となり、本来課税される運用益に税金がかかりません。また、年金として受け取るときにも税制優遇があります。

 iDeCoは60歳になるまで資金が引き出せないのが、NISAと大きく違います。掛金の減額や増額、掛金を一時的に止めることなどを考えると、気軽に始めやすい点はNISAの魅力といえます。

 女性の看護師の方の多くは、ライフサイクルにより働き方や働く場所が変わる可能性が高く、それによって収入も大きく変動する可能性が高いので、その点に留意して、iDeCoを始めるか考える必要があります。
 福利厚生として「企業型DC(企業型確定拠出年金)」が用意されている病院もありますね。iDeCoなら個人で負担する手数料を、企業が負担してくれる制度です。

きたじー

“DC”っていっても除細動器とはちゃうで

 企業型DCは、マッチング拠出選択制DCに分かれています。マッチング拠出は勤務先が拠出した掛金の額まで、自分でも掛金を出せます。病院の掛金が5,000円なら、自分で拠出できるのも5,000円ということです。なお、この掛金は社会保険料算定の対象となります。

 一方、選択制DCは給与の一部がDCの掛金として拠出されます。この拠出分は給与にカウントされないという点がポイント。そのため、働かれている職場のDCがどちらのタイプになるかによって、図1のように内容が違いますので、必ず確認しておく必要はあるかと思います。

 iDeCoも企業型DCも、年金の一部を自分で運用しているとイメージしてもらえたらと思います。使える制度があるのに活用しないのはもったいないので、あらためて確認してみてください。

図1 選択制DCの仕組み
選択制DCの仕組みの図
図2 選択制DCの例
選択制DCの例の表

仕事か、資産運用か。経済学者トマ・ピケティの理論

 フランスの経済学者トマ・ピケティが唱えた「r>g」という不等式があります。「r」は資本収益率(資本の成長率)、「g」は経済成長率です。
 トマ・ピケティはお金持ちと一般人の金融資産の統計をとりました。お金持ちへは株や投資が6%くらい、不動産は4%くらいのリターンがあります。一方、労働者の賃金は世界的に見て毎年2%も上昇していないといわれています。
 つまり、お金持ちになるために一生懸命働いた人よりも、資産運用をした人のほうがお金持ちになった、というなんとも悲しい理論です……。

みんな投資しているの?

※エキスパートナースモニターアンケート(2024年12月実施)より集計、n=65

 エキナス読者モニターに「現在、投資をしていますか?」とアンケートをしたところ、投資をしている人としていない人が半々の結果に。投資をしている人の内訳としては、「投資信託(NISA)」「個人型確定拠出年金(iDeco)」の順となっています。

人生の選択肢を増やすためにも資産運用を!

 投資を始めた先のゴールはどこなのでしょうか。知っておいていただきたいのが、「取り崩し運用」。例えば年間5%など、自分で決めた率を現金に変えて取り崩していき、残りはそのまま運用していく、という方法です。株の暴落などがあっても保有し続けて、取り崩しながら運用を継続することが重要です。給料の代わりに新しい資産を築き、給料代わりに引き出していくイメージです。目標額を決めることをゴールとしがちですが、こうした運用の仕方をゴールと考えると、安心につながるかと思います。

図6 取り崩しの例
取り崩し運用の例

 「お金のために働く」となると、労働が罰ゲームのように感じてしまいます。でも本来、働くことは社会に必要なこと、誰かの役に立つことであるはずですよね。経済的なゴールが見えると、気持ちに余裕が生まれ、仕事でもプライベートでもやりたいことが出てくると思います。働き方を変えるという選択肢が生まれるんです。自分の人生の選択肢を増やすためにも、資産運用を検討してみるのはいかがでしょうか? また、その際には看護師のお金とキャリアの専門家に相談していただけると幸いでございます。

下記のようなサイトを参考に、自分ならどのくらい積み立てて、どう取り崩していけばいいかを考えてみてもいいですね

●三井住友銀行 資産寿命シミュレーション
https://www.smbc.co.jp/kojin/special/lifetime/simulation/simulation.html
●イオン銀行 つみたてシミュレーション
https://www.aeonbank.co.jp/asset/simulation/

Illustration:ケイーゴ・K/PIXTA

※この記事は『エキスパートナース』2025年定期購読特典『エキナスプラス』を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。