国内外のACPの定義、話し合いの内容やポイント、メリットと課題、看護師に期待される役割について紹介します。今回は「事前指示(AD)、リビング・ウィル、DNARがあれば、ACPは必要ない?」という疑問について解説します。

事前指示(AD)、リビング・ウィル、DNARがあれば、ACPは必要ない?

 事前指示(advance directive:AD)には、代理意思決定者(患者本人が意思決定することが困難になった場合に患者さんの医療・ケアの方針を本人の代わりに決定する代理人)を指定する代理人指示と、人生の最終段階や救急医療の場面における、生命維持治療を含む医療行為の希望だけでなく、希望する療養環境や看取り場所、自分の死後に家族などの重要他者に望む内容を指示する内容的指示の2つの指示が含まれます。

内容的指示:ACPとリビング・ウィル、DNARの関係

 内容的指示は、基本的に指示書として文書に表されることを目的とされており、一般的にリビング・ウィルと呼ばれています。また、そのなかにdo not attempt resuscitation(DNARが位置しています(図11

図1 事前指示(AD)、DNAR、ACPの関係図

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