これだけは気をつけたい看護ケアのポイントを取り上げます。酸素ボンベは開栓バルブのハンドル部分を持って歩くと危険!その理由と、正しい運搬方法、取り扱いのポイントを紹介します。

酸素ボンベのハンドルを片手で持った運搬は危ない!

 酸素ボンベを運搬するときに、開栓バルブのハンドル部分を持って歩くと、揺れの反動でバルブが開く恐れがあります。
 開栓バルブのハンドルを持って運搬して、酸素ボンベのバルブが誤って開いたり、手を滑らせて床に落としてバルブが破損したりした場合、酸素ボンベに高圧で充填されている酸素ガスが勢いよく噴出してしまいます。
 周囲にいる患者さんや医療者にとって、激しい勢いで噴出する酸素ガスや酸素ボンベ自体が、非常に危険です。

強い圧をかけた酸素ガスが充填されており、衝撃に弱い

 病棟内で酸素ボンベを交換するために運搬する機会がありますが、その際、慎重に酸素ボンベを取り扱う必要があります。酸素ボンベを運搬している際に危険な状況に陥った例を表1に示します。

表1 酸素ボンベ運搬に伴う事故の例

●看護師Aさんは、ベッドに固定して使用していた酸素ボンベを交換するため、新しい酸素ボンベを病室に運搬していました。

片手で酸素ボンベのハンドルを持つイラスト

●その際、片手で酸素ボンベの開栓バルブのハンドル部分を持って運び、手を滑らせて、病室の床に酸素ボンベを落としてしまいました。

●床に落ちた衝撃で、酸素ボンベの開栓バルブが破損して、酸素が噴出すると同時に、ボンベが激しい勢いで回転しながら床を転がり始め、危険な状況に陥りました。

●患者さんに危険が及ぶと考え、看護師Aさんは必死に回転して転がる酸素ボンベを押さえようとして、手にケガをしてしまいました。

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