特別養護老人ホームなど、介護保険施設で行うACPのコツを紹介。情報共有シートの活用や、ACPの具体的な進め方、看護師の役割などを解説します。

情報共有シートを活用したACP

 介護保険施設の1つである特別養護老人ホーム(以下、特養)は、平成27(2015)年4月の介護保険制度の改正以降、新規入所者が原則要介護3以上となり、入所の段階ですでに意思表明できない人がほとんどを占め、本人の意思をどのように確認するのかが課題となりました。

 このようななかで、特別養護老人ホーム紫野(以下、当施設)では、本人はどのようなことを大切にしてきた人なのか在宅支援者にどのような思いを話してきたのかなど、本人の意思・思いをつなぎ、これからの暮らしの場である特養で紡(つむ)いでいくことができる「情報共有シート」(表1)を作成しました。

 この情報共有シートは入所前の面接で使用しています。それまで使用していたシートでは、身体状況(特にできないこと)と、家族の延命治療の希望を確認していましたが、本人の意思が尊重された最期を迎えることができるのかと考え、「本人の“人となり”」「日課や楽しみ」「趣味」「今後の生活に対する希望」「価値観や死生観」を知ることができるものへ改良しました。

 特養で行うACPは、家族や在宅支援者がつないでくれた「過去」から本人の「現在」の意思・思いを推定し、意思決定、意思実現へつなげていく場面が多く、「過去」「現在」「未来」の時間軸で受け止めていく必要が高いと考えます。

表1 特別養護老人ホーム紫野における情報共有シート

特別養護老人ホーム紫野における情報共有シート

特別養護老人ホームにおけるACPの進め方は?

 当施設における入所前から看取り後までのかかわりと、ACPを行っていくなかで訪れる3つの「分岐点」を図1に示します。入所時の「住まいの場が変わる時」をACPの分岐点①、病気や老いによる「身体機能の変化がある不安定・低下期」を分岐点②、「回復が望めない看取り期」を分岐点③と、本人・家族と一緒に考え話す時を意図的にとらえていきます。

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