「脳」と「麻痺」の基本と応用について解説!今回は脳神経疾患による合併症の1つ、排泄障害のしくみについて紹介します。
排泄障害のしくみ
排泄障害も重要な合併症の1つです。排泄の自立は人間の尊厳にかかわるため、QOLの向上に必須です。排泄の自立への働きかけは、看護の大切な役割です。「治す医療」から「支える医療」への変換が図られている今、「排泄自立」へのアプローチはチームで行う必要があります。
こうしたことから平成28年度診療報酬改定で「排尿自立指導料」が新設。これは排尿自立を促す
ために多職種共同でアプローチをしようというものです。令和2年度の改定では「排尿自立支援加算」が新設され、「排尿自立指導料」は「外来排尿自立指導料」へと変更になりました。
排泄障害は主に、排尿障害と排便障害とに分けられます。排尿障害では膀胱に尿が溜まってくると、尿意として脳に伝えられます。次に「尿ががまんできない」と感じ、排尿をしようとすると、脳の中の橋から排尿の命令が出されます(図1)。これが排尿の一連の過程です。
脳血管疾患により脳が損傷を受けると、このような一連の動作を指令する情報が伝わりにくくなります。そのため、尿意として感じられなくなったり、排尿ができなくなったりします。
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