20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 (ライフサポート社、2020年)。 

 この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

看護師も
生身の人間であり、女であり
結婚の自由もあることを
世に宣言し、広く支持された
人権ストと呼ばれるゆえんである

 職場ではほとんどが男性である医師集団と、女性集団である看護師との関係は、旧来の男女のあり方をそのまま反映していたし、女であるがゆえの精神的・経済的自立のない暗い時代が、戦中・戦後を通じてあまりに長く続いたのである。

 こうした状況を改革し、看護師も女であり人間であることを主張して、自らの人権回復に向かって社会に訴えたのがあの病院スト(1960~61)である。この時、看護師も生身の人間であり、女であり、結婚の自由もあることを、世に宣言し、広く支持された。人権ストと呼ばれるゆえんである。

(出典:『看護の自立2 看護婦の労働と仕事』5ページ、勁草書房)

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