川嶋みどり 看護の羅針盤 第158回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　一連の実践や研究を振り返って感じることは、人間の生活行動は、大脳生理学をはじめ、すでに明らかな科学的知識を統合して解釈される側面と生理的なメカニズムのみではなく、行動自体への、個別の文化の影響を大きく受けているということです。

　狭義の医療的な治療の歴史は長いのですが、その弊害も多く指摘されている今日、病床のその人の個別性を尊重し、人間の可能性に目を向けた看護治療学を、人々の苦痛緩和や自然治癒力、闘病意欲を高める1つの選択肢として提示したいと思います。

（出典：『看護の癒し そのアートとサイエンス 看護治療学への道』75ページ、看護の科学社）

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