川嶋みどり 看護の羅針盤 第175回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　輸血実施段階における観察の場面は、看護師として最も主体的で重要な部分である。実施直前までのプロセスに省略やミスがあった場合でも、また、手続き上のミスが全くないにもかかわらず、なお知り得ない事故要因があった場合でも、観察技術の的確さにより事故を防ぎうる場合がある。

　したがって、この部分は、抽象的な一般状態の観察ということではなく、輸血副作用の起こりうる初発症状を具体的に示し、それらの症状を早く発見するとともに、安全保持の上から、行うべきプロセスを省略しないことが大切であろう。

（出典：『看護における安全性』173ページ、医学書院）

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