急変や重症化を防ぐため、ラウンド時にチェックしたい「急変未満の状態」。今回は脳卒中など意識障害を急変未満で見抜くポイントを解説します。
話しかけて意識状態をチェックし、急変未満を見抜く
患者さんと何気ない会話をしている際、笑顔に違和感があったり、顔に歪(ゆが)みがみられるようなことがあります。これは患者さんに意識障害が起こっているサインです。よく言われるものですが、ただ見ているだけでは案外気づきにくいものです。
一般病棟では、次のラウンドは2~3時間後になることが多いと思われるため、「なんかヘン」を放置してしまうのは致命的です。訪室のたびに話しかけるようにしてみましょう。
FASTに注意して脳卒中を見逃さない
患者さんと会話する際は、意識がしっかりしていても「FAST」を確認してください。FASTとは、顔(Face)・腕(Arms)・言葉(Speech)の異変に気づいたら発症時刻(Time)を確認する、というものです(図1)1。これに注意すると、脳卒中の早期発見につながります。
図1 「FAST」の活用例

脳梗塞を疑ったらすぐにMRIへ
脳梗塞は前徴の出る期間が短く、急速に進行します。そのため、疑ったらすぐにMRI検査を行うことが大事です。わずかな時間が患者さんの長期予後を大きく左右します。
発症後すぐ(4.5時間以内)の脳梗塞であれば、脳の血管に詰まった血の固まりを溶かすrt-PA療法ができて救命率が上がり、後遺症も軽くなる可能性が高まります2。
しかし、睡眠時の発症の場合や、前述のポイントに最初に気づいた人がはっきりわからない状況では、4.5時間以内の発症なのかわからないことがあります。
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