大腸がんの全体像と基礎知識をわかりやすく解説!症状や原因、分類、検査、治療方法など、看護師が知っておきたい大事なポイントをまとめました。

大腸がんとは?

 大腸がんとは、大腸に発生した悪性腫瘍である。組織型の多くが腺癌である。
 好発部位はS状結腸と直腸である。

 日本の大腸がん※1の死亡数(2020年)は、男性2万8,122人、女性2万4,965人である。悪性新生物での死因で男性では第2位、女性では第1位となっている(令和7年人口動態統計)。

※1 結腸の悪性新生物〈腫瘍〉と直腸S状結腸移行部及び直腸の悪性新生物〈腫瘍〉を合わせたもの。

大腸がんの症状

 大腸がんは、初期は無症状であることが多い。進行すると、部位によって特徴的な症状が表れる(図1)。

図1 大腸がんの部位別の症状
大腸がんの部位別の症状の図
(文献1より引用)

大腸がんの原因

 大腸がんの危険因子として、食生活の欧米化、肥満、飲酒、運動不足、遺伝的素因、潰瘍性大腸炎などがある。

大腸がんの分類

肉眼型分類

 大腸がんの肉眼型分類では、0型(表在型)~5型(分類不能)で分けられる。
 0型が早期がん、1~5型が進行がんとされる。0型の表在型は、Ⅰの隆起型とⅡの表面型に分けられる。

壁深達度分類

 大腸がんの壁深達度分類では、早期大腸がん(Tis、T1a、T1b)と進行大腸がん(T2、T3、T4a、T4b)で分ける。

進行度分類

 大腸がんの進行度(stage)は、TNM分類で決定する。

大腸がんの転移

 大腸がんの転移・浸潤には、リンパ行性転移、血行性転移、播種性転移がある。大腸の血行性転移は、肝臓への転移が最も多い。

大腸がんの検査・診断

 大腸がんの確定診断のために、大腸内視鏡検査を行う。他には、便潜血反応、直腸診、直腸造影、腫瘍マーカー(表1)、胸部X線、エコー、CT・MRIなどを行う。

表1 主な腫瘍マーカーとアセスメント

CEA
●基準値:5.0ng/mL以下
●高値:悪性腫瘍(大腸がん、肉腫、乳がん、肺がん、胃がん、膵がん、胆管がん、甲状腺髄様がん)、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープ、大腸炎、肝炎、肝硬変、膵炎、閉塞性黄疸、腎不全(透析で上昇)、乳腺症、肺炎、気管支炎、肺気腫(喫煙者)、婦人科疾患、糖尿病

CA19-9
●基準値:37.0U/mL以下
●高値:悪性腫瘍(消化器がん、特に膵がん、胆道がん)、良性腫瘍(肝硬変、原発性単純性肝硬変症、胆管炎、胆石症、慢性肝炎、閉塞性黄疸、膵炎、膵管閉塞、子宮内膜症、卵巣囊胞、糖尿病)

AFP
●基準値:10.0ng/mL
●高値:原発性肝がん、転移性肝がん、肝硬変、先天性胆道閉鎖症、胎児性がん、胆管・胃・肺・食道がん、胃潰瘍、妊娠、非転移性悪性腫瘍、卵巣囊腫、睾丸・卵巣腫瘍
●低値:肝炎・肝硬変などの肝障害回復期、正常妊娠32週以後(6週目から上昇、32週目でピークとなり、分娩後に急速に低下。分娩後2週目に正常化する)、体内死亡胎児を有する妊婦

SCC
●基準値:1.5ng/mL
●高値:子宮頸部扁平上皮がん、子宮体がん、外陰・腟がん、食道がん、肺扁平上皮がん、頭頸部がん、口腔・舌・上顎がん、子宮筋腫

PIVKA-Ⅱ
●基準値:40.0mAU/mL未満
●高値:ビタミンK欠乏症(拮抗薬使用含む)、肝細胞がん、転移性肝がん、肝硬変、アルコール性肝障害、肝炎、閉塞性黄疸、低栄養状態

(文献2を参考に作成)

大腸がんの治療

 大腸がんの治療は、進行度に合わせて決定される。内視鏡的治療、外科的治療、化学療法などを行う。補助的に放射線療法、対症療法を行う。

内視鏡的治療

 大腸がんの内視鏡的治療には、ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)がある(図2)。適応となるのは、Tis、T1aがんでリンパ節転移の可能性がほとんどないものである。ESDは大きさの制限はないが、ポリペクトミーとEMRは約2cmまでとなっている。

図2 内視鏡的治療
内視鏡的治療の解説図
(文献3より引用)

外科的治療

 大腸がんの外科的治療では主に、原発巣の切除とリンパ節郭清を行う(図3・4)。
 肛門に近い場合、人工肛門(ストーマ)を造設する必要がある。術後合併症には、縫合不全、創感染、腸閉塞などがある。

図3 結腸の手術
結腸の手術の解説図
図4 直腸の手術
直腸の手術の解説図

人工肛門(ストーマ)とは?

 肛門に近くにがんができた場合、人工肛門(ストーマ)を造設する必要がある。

 人工肛門(ストーマ)には、治療の一環として造設し、一定の期間経てば閉じる一時的人工肛門と、肛門を切除した場合に造設する永久人工肛門がある。
 術前にストーマの位置を決める。ストーマの位置は、クリーブランドクリニックの基準を用いる。

①臍部より低い位置
②腹直筋を貫く位置
③腹部脂肪層の頂点
④皮膚のくぼみ・しわ・瘢痕・上前腸骨棘の近くを避けた位置
⑤本人が見ることができ、セルフケアしやすい位置

 ストーマ造設位置と開口部の数による分類がある(図5)。

図5 ストーマ造設部位による分類の模式図と便の性状

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1.林みよ子監修・執筆,小野加寿代執筆:疾患別看護過程 大腸がん.プチナース2019;28(2):8.
2.西﨑祐史,渡邊千登世編著:ケアに生かす検査値ガイド 第2版.照林社,東京,2018.
3.前掲書1:10.
1.医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.1 消化器 第6版.メディックメディア,東京,2020.
2.大腸癌研究会編:大腸癌治療ガイドライン 医師用 2022年版.金原出版,東京,2020.

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※この記事は『エキスパートナース』2022年11月臨時増刊号を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。