せん妄のメカニズムを知れば、効果的な対応・ケアが見えてきます!今回はせん妄の薬物療法を取り上げます。薬物療法を行うときの注意点を確認しましょう。

漸減・中止を視野に、補助的に使用

 せん妄の薬物療法としては、過活動型せん妄の興奮、幻覚、妄想、不眠などに対し、抗精神病薬が主に使われています。抗精神病薬はドーパミンを遮断しますが、これは炎症など原因を改善しているわけではなく、あくまでも対症療法です。

 肺炎の治療に例えると、解熱剤に該当し、表面上の症状を緩和しているにすぎません。実際に、抗精神病薬がせん妄患者の予後を改善するという根拠はなく、認知症患者での月単位の投与は死亡率が高まるとの報告1もあります。

 そのため、せん妄の薬物療法については、以下の原則に則って行い、漫然と使用しないことが重要です。

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