せん妄のメカニズムを知れば、効果的な対応・ケアが見えてきます!今回はせん妄の症状のうち、幻覚・興奮・妄想に対する薬剤を紹介。抗精神病薬とグルタミン酸系薬剤の使い分けを解説します。
症状に応じて、抗精神病薬や抗うつ薬、睡眠薬を使い分ける
薬剤はターゲットとする症状と対応する受容体、半減期、投与経路、禁忌などを考慮して使い分けます1。図1に、各薬剤が関与する神経伝達物質と症状を示します。薬剤によっては重複した作用があるものや、投与することでせん妄を悪化させてしまうものもあります。
図1 薬剤が関与する精神神経伝達物質と症状

幻覚・興奮・妄想(ドーパミン、グルタミン酸)に対する薬剤
これらの症状は統合失調症と共通し、ドーパミンやグルタミン酸の過剰によって起こると考えられています。そのため、ドーパミンD2受容体の遮断作用をもつ抗精神病薬(下表)や、グルタミン酸系に作用する薬剤が使用されます(下表)。
①抗精神病薬(ドーパミンD2受容体遮断)
抗精神病薬は、いずれも副作用としてパーキンソニズムを含む錐体外路症状や、かなりまれですが悪性症候群や致死的不整脈などがあります。興奮が治まることで眠ることはありますが、せん妄患者ではリスパダール®のようなドーパミンD2受容体遮断作用だけでは鎮静が得られないことがしばしばあります。
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