医療事故につながる可能性のある危険な薬に注意!今回はハイリスク薬の1つである抗がん薬を取り上げます。細胞毒性による重篤な副作用や合併症を防ぐため、看護師が知っておきたい観察ポイントを解説。使用時の注意点も紹介します。
細胞毒性により、好中球減少や便秘・イレウスに
危険な理由 正常な細胞を攻撃(細胞毒性)してしまう
抗がん薬は、たくさんの種類や薬理作用があり、看護師にとっては覚えきれないというのが本音だと思います。しかし、「抗がん薬」と聞くと、“危険(ハイリスク)な薬” “取り扱いに注意が必要な薬”というイメージがしっかりついていると思います。
なぜ、「抗がん薬」は危険な薬だと感じるのでしょうか?
それは、がん細胞(腫瘍細胞)の増殖を抑えたり、死滅させるという薬理作用(細胞毒性)が、正常な細胞にもはたらき、重篤な副作用や合併症を引き起こすことを教えられたからでしょう。例えば、ひどい口内炎、激しい嘔吐や下痢、脱毛、好中球の減少による易感染状態などに対し、細やかなケアを提供するように教育指導されます。
しかし、臨床で抗がん薬治療中の患者さんの受け持ち看護師になると、ケアだけではなく副作用の早期発見や予防、もしくは軽減するための治療や処置を的確なタイミングで実施するなどキュアの業務の精度の高さも望まれます。
注意するポイント 看護師の観察で防げる副作用がある
抗がん薬は細胞毒性をもつ薬剤であることから、過量投与を防ぐのはもちろんですが、副作用の観察以外にも注意すべき点があります。
1)血管外漏出を疑った場合は、すみやかに医師に報告する
抗がん薬が血管以外のところに漏出すると、その部分の薬剤濃度がきわめて高くなり壊死を起こします。末梢の血管から抗がん薬を投与しているときは、定期的に刺入部を確認し点滴の漏れがないか入念に観察しましょう。また、少量であっても看護師の判断で様子観察をせず、すぐに主治医に報告しましょう。
2)末梢神経障害やイレウス等がないか観察する
この記事は会員限定記事です。