「とりあえず安静」のときにもできることがある

 入院中のリハは理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのセラピストが担うものとみなされてはいますが、そうした職種のみならず、患者さんの病棟生活に深くかかわっている看護師の役割は非常に大きいです。

 例えば、入院中の患者さんで「肺炎で熱が高い!」といった場合、誤嚥が疑われたならば、「とりあえず安静で絶食とし、点滴しながら経過をみる」ということになりがちです。この安静臥床と絶食は、 患者さんの体力を著しく低下させてしまいます図1)。

図1 リハビリテーションは急性期にも重要

 臥床した状態では十分な咳も出ません。“咳が出なければ痰も吐き出せない”ということになり、肺炎を助長させてしまうことになりかねません。肺炎の患者さんは寝たままの状態にせず、可能な限り座位をとり、呼吸が楽にできるようにしてあげなくてはなりません。

 絶食は、患者さんの身体に重大な影響を与えるもので、たとえ1日の絶食であっても、患者さんの体力の消耗は非常に大きく、特に高齢者で2~3日の絶食が続いただけで、立てなくなることさえあります

 さらに絶食が続けば、舌、咽頭、喉頭の筋力は著しく低下して、いよいよ食べられなくなってしまいます。 不必要な安静や、安易な絶食を避け、できるだけ早く患者さんを起こすこと。そして、口腔ケアを正しく行いながら、口の動きや呼吸の状態を低下させないようにしていくことが大切なかかわりとなります。これは肺炎に限らず、すべての疾患に対してあてはまることです。