がん治療・ケアの最新知識を紹介。今回はがんサバイバーシップを取り上げます。がんサバイバーにおける合併症に対するマネジメントや、がんサバイバーにおける課題を解説します。

がんサバイバーシップとは?

 がんにおける「がんサバイバーシップ」とはがんサバイバーは、米国ではすでに1,500万人以上に増加しており、わが国でも500〜700万人が存在していると考えられています1

おさえたいポイント

●がんサバイバーへの支援は4期に分けて考える必要があり、各期に応じたマネジメントが行われる(「安定期」を除く)。
●長期間の治療により、がんサバイバーは多くの課題と問題点を有していると考えられる。

 がんサバイバーシップとは、がん診療において生じるさまざまな課題に対して、がんサバイバーが医療従事者やケアを行う家族・介護者などと協力しながら乗り越えていくことを意味します。
 そして、がん診療において図1に示すように、次の4期に分けて考えていく必要があります。

①がん診断・治療計画期
②がん治療急性期
③がん治療終了時
④安定期

 がん治療を開始する前のがん診断、そして治療計画を行う時点で、がん治療に伴う急性期ならびに晩期合併症の発症を予防するためのリスク評価を行います。

図1 がんサバイバーにおける合併症に対するマネジメント

(文献2を参考に作成)

 がん治療開始後は、治療内容に合わせた定期的なチェック(サーベイランス)を行い、血液毒性、消化器毒性さらに心血管毒性などの急性期合併症に対するマネジメントを行います。
 その後、がん治療が終了し、治癒・寛解となり、安定期を迎えます。ここでは、がん治療終了直後にがん治療による影響のチェックとリスク因子の評価を行うことで、晩期合併症の発症を想定したマネジメントが開始されます。

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