血液がとれない場合は末梢の点滴ラインから採血してもよいのでしょうか。ルート採血による検査値への影響を紹介しながら解説します。

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Q. 血液がとれない場合、末梢の点滴ラインから採血していい?

ひとこと回答
輸液などの影響を考えると、原則的にはルート採血は行いません。

 末梢の点滴ラインだけでなく、中心静脈ラインからの採血であっても、点滴ラインに満たされている輸液などが混入して検査結果に影響を与える(表1)ため、原則的には行いません

表1 ルート採血による検査値への影響(例)

ルート採血による検査値への影響(例)

 しかし、小児で採血が難しい患者さん頻回に採血が必要な場合などには、このような問題を考慮しながらも、主治医の判断でラインからの採血を実施することがあります。

やむなく点滴ラインからの採血を行う場合

①投与中の輸液をいったん止める。ライン内の輸液・血液を吸引してシリンジごと廃棄する。
②新しいシリンジで採血する。その後、生理食塩水でフラッシュ。
*動脈ラインから採血する方法もある(点滴ライン同様、ヘパリン加生理食塩水などの影響に注意)

 ラインからの採血は、ライン内に存在する輸液などによって検査値に影響するだけではなく、ラインの詰まりや、ライン内の感染の原因ともなってしまうため、十分な注意が必要です。

1.藤田浩:かんたんマスター採血と検査値.照林社,東京,2008.
2.菅野敬之 編:注射・採血法 改訂版.羊土社,東京,2012.

※この記事は『エキスパートナース』2018年7月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。