褥瘡・創傷ケアのコツを豊富な症例写真とともに解説。今回はギプス辺縁のMDRPUの場合と、表皮が欠損した場合の、踵部のd2褥瘡のケア方法について紹介します。
この記事は『エキスパートナース』2018年6月号特集を再構成したものです。
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ギプス辺縁のMDRPUの場合のd2褥瘡のケア方法は?
〈症例①〉
d2-e3s3i0g0n0p0:6(点)
●70歳代、女性、大腿骨遠位端骨折。
●膝関節を固定するためにギプスを装着していた。

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下肢全体をクッションで支え、体圧が集中するのを避ける
この褥瘡は、踵の背面に発生したもので、創部はギプスの辺縁にかかっていました。下肢全体はクッションで挙上されていました。
ギプスが装着された状態でも創部に圧迫が集中しないように、クッションで下肢全体を挙上します(図1)。
図1 下肢全体を支えるようにクッションを入れる

ギプスをギプスシーネに変える
ギプス装着中の褥瘡は、観察や処置が困難な場合がありますが、装着中も創部の観察は必要です。可能であれば、ギプスをギプスシーネ(図2)にできないかを医師に相談します。 ギプスシーネにすることが不可能であれば、創部の処置ができるようにギプスを開窓してもらうことを医師に相談します。
図2 ギプスシーネ

ポリウレタンフォームドレッシング材で保護
創部の処置としては、創部の洗浄後、ポリウレタンフォームドレッシング材(ハイドロサイト®、ハイドロサイト®ADプラスなど、図3)で被覆します。
図3 創にフィットする粘着タイプ

この患者さんにポリウレタンフォームドレッシング材を使用した理由は、
①創部が患肢側で、外部から汚染されるリスクが少ないこと
②交換時にドレッシング材が創に残らないため処置の時間が短縮でき、患者さんの負担が少ないこと
③フォーム材とフィルムが一体型であるため、ずれが生じないこと
④感染の徴候が認められないこと
などです。
(執筆:馬場真子)
表皮が欠損した場合の踵部d2褥瘡へのケア方法は?
〈症例〉
d2-e3s6i0g0n0p0:9(点)
●70歳代、男性。慢性心不全。
●両下肢の浮腫あり、自力体位変換は困難。
●破疱し損傷した表皮が完全に欠損している。欠損した皮膚の辺縁は白く変化し、浸軟している。

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