この記事は『不登校・ひきこもりが終わるとき』(照林社)より再構成したものです。
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 いろいろな本を読みましたが『ごかいの部屋』がいちばん参考になります」(親御さん)

 「不登校・ひきこもりという実体験に即して考え抜いた中から、誰にでも通じる普遍的
な内容を具体的な言葉で語ってくれる」(支援関係者)
 
 「出版されたら当事者本(当事者・経験者が書いた本)ナンバーワン!」(ひきこもり
経験者)
 
――このような好評の声に支えられ、創刊12年目に突入しているメールマガジンをご存知でしょうか。

「ごかいの部屋〜不登校・ひきこもりから社会へ〜」(「まぐまぐ」「メルマ」「めろんぱん」より配信)
 
 高校時代に不登校状態のため卒業まで7年かかり、大学卒業後にひきこもり状態のため社会復帰にやはり7年かかった私が、2001年から「ヒューマン・スタジオ」という相談室を開いて1年後の2002年に創刊し、2013年200号に到達したインターネット上の読み物(定期配信物)です。
 
 ひきこもりとその後の勉強や支援活動の期間という長いブランクを経て「ヒューマン・スタジオ」を設立した私にとって、「ごかいの部屋」は、インターネットに精通した当時のスタッフに「宣伝になる」と勧められて創刊した、広報の一手段にすぎないものでした。
 
 不登校とひきこもりで相談にいらっしゃるのはほとんど親御さんですから、読者層も当初から親御さんに絞って、親御さんに向かって語る文体で執筆し配信していきました。
 
 ベースとしての自分自身の過去の実体験のうえに積み上がっていく実践経験のひとつひとつが意味するところを考察・追究しながら書き綴る「体験的不登校・ひきこもり論」を掲載する「ごかいの部屋」は、いつしか広報手段というより理解と対応のテキストとして、冒頭のように親御さんや関係者の方々はもとより、読者層に想定していなかった当事者の方々からもご好評の声が上がるようになり、登録読者数も右肩上がりに増えていきました。
 
 そんな折、愛読者でもあったライフサポート社の佐藤信也社長から出版のオファーをいただき、それから数年経ってようやくご期待に応えるはこびとなりました。
 
 今や170本を超えている「ごかいの部屋」に掲載した文章。本書にはそのうち3分の1弱の50本余りを収録しました。創刊から10年の間に書いたなかから、本質的な内容で、なおかつ好評をいただいた文章を中心に選んだものです。
 
 書いた当時と現在とのタイムラグや各文章の整合性と連続性など、書籍化にあたって考慮すべき点を踏まえ修正を加えてありますが、基本的に、メルマガの文意を収録してあります。

 なお、「ごかいの部屋」でも本書でも、子どもが学校に行けない状態を「不登校」と、おとなが社会参加できない状態を「ひきこもり」という用語として使っています。しかし、「不登校」と「ひきこもり」はあくまで状態名ですが、論じるうえでは便宜上使わざるを得ないと考えてのことですので、あらかじめご了解のうえお読みください。
 
 お子さんの不登校やひきこもりにお悩みの親御さんをはじめとするご家族の方々はもとより、不登校・ひきこもりに対応している教育・心理・福祉・医療の関係者・関係団体の方々――本書のサブタイトルの中の「当事者」とは、そのような方々を含めています――が、理解と対応・支援の参考書の一つとして、個々の状態や場面に応じて随時参照できるよう常にお手元に携えて末永くご活用いただければ、これにまさる幸せはありません。

『不登校・ひきこもりが終わるとき』

丸山康彦 著
照林社、2024年、定価 1,870円(税込)
ご注文・詳細はこちらから(照林社ホームページ)

不登校・ひきこもりが終わるとき【第2回】序章――〝願い〞と〝思い〞を受け止める