術後は、血糖を厳密にコントロールする必要があります。その理由を、高血糖のリスクを踏まえて解説。どのように厳密な血糖管理を行うのかも紹介します。
Q. 術後は、なぜ血糖を厳密にコントロールする必要があるの?
ひとこと回答
生体が手術などの侵襲にさらされると、侵襲に対する生体反応で高血糖となるため、
術後の血糖管理はとても重要です。術後は低血糖を予防し、「血糖値 140~180mg/dL」を目標にコントロールすることが推奨されます。
手術で侵襲が加わると、交感神経の賦活化によりストレスホルモン(グルカゴン、コルチゾール、カテコールアミンなど)が分泌されます。
このストレスホルモンの分泌亢進や、炎症性サイトカインの作用によって、インスリン抵抗性が増大し、糖新生の亢進が起こり、血糖値の上昇を招きます。
高血糖がもたらす弊害とは?
ブドウ糖は、細胞外液の浸透圧に大きく寄与しています。そのため、ブドウ糖の濃度が上昇すると細胞外へ水分が移動し、細胞脱水を引き起こします。
また、尿中へブドウ糖が喪失されることで、浸透圧利尿をもたらします。これらは循環血液量の減少や電解質異常につながり、血圧低下や不整脈など循環障害を招く可能性があります(図1-1)。
高血糖になると、喀痰や尿中のブドウ糖濃度も上昇するため、細菌が繁殖しやすい環境になります。また、高血糖の影響で、好中球の貪食能やリンパ球の免疫能が低下します。そのため易感染状態となり、感染が成立すると重症感染症へ移行するリスクも高くなります(図1-2)。
さらに高血糖が続くと、線維芽細胞や血管内皮細胞が傷害され、創傷の治癒が遅延しやすくなります(図1-3)。
以上のことから、術後は血糖を厳重に管理し、さまざまな症状を予防していく必要があります。
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