ワケがあって医師がオーダーしている画像検査。臨床場面でナースがとりたい画像からの情報をわかりやすく示します。第51回は、腹痛の患者で急性虫垂炎を疑って、画像を見るポイントについてです。
腹痛の患者での画像の着目ポイントは第47回を参照ください
急性虫垂炎を疑って、虫垂付近を見ている
胃腸炎に間違えられやすい急性虫垂炎
急性虫垂炎は胃腸炎と誤診されやすい腹痛の原因でしょう。症状が嘔吐、腹痛、下痢で、症状の出始めは心窩部痛であることが多く、その時点では胃腸炎と区別がつきません。
CTなどで画像を取得しても、その段階ではまだ虫垂がしっかり腫大していないこともあり得ます。
CTでは腫大した虫垂(ソーセージ状の形をして、太さが6mm以上)、虫垂内の糞石(白い塊)、虫垂内の含気(黒い点)、周囲の脂肪織濃度の上昇(灰色に見える)を特に見ます(図1)。
糞石があれば穿孔する可能性が高く、手術になる可能性が高まります1。
周囲の脂肪織濃度の上昇は、炎症が波及していることを意味し、その中に腫大した虫垂がないかを見ます。 脂肪織濃度の上昇したところにフリー・エアーや膿瘍があると虫垂の穿孔を疑い、緊急手術となります。
図1 虫垂炎のCT画像と得られた所見
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