緩和ケアの倫理規範について解説。自分自身が受けたいケアを考えながら、患者さんにとって適切なケアを提供するためのアプローチについて説明します。
目の前の患者の受けているケアを自分自身が受けたいかを考える
患者の苦しみを真の意味で理解することは困難
私たち成人は、突然死で亡くなる場合を除いたほぼすべての慢性進行性疾患において、加齢に伴う大きな方向性として、多少のアップダウンを経ながらも身体機能は徐々に低下しつづけ、やがては食事や排泄などの生命維持にかかわる自律性をも失います。
こうした、人としての生命サイクルのなかで、誰もが経験する死に近い時期における苦しみ(人としての身体機能や所有物の喪失体験)をどう評価し、サポートすべきなのでしょうか?
患者さんの苦しみは、前述の「患者さんの語り」や非言語的な動きを医療者が五感をフルに研ぎ澄まし、これを受け止めることによってのみ理解できます。
しかし、死に瀕した人の苦しみを、まだその状況を経験していない健康な人が真の意味で理解することは不可能です。死に瀕した人の苦しみを私たちが究極的には理解できないのなら、次善の策としてどうすればよいでしょうか?
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