認知症の終末期①ケアで行いたいこと【非がん患者への緩和ケア:第25回】
編集:関根龍一
医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 疼痛・緩和ケア科 部長
執筆:大川薫
医療法人鉄蕉会亀田総合病院 在宅診療科部長、地域医療支援部部長兼務
【第1回】緩和ケアの最新の考え方
【第23回】認知症の終末期①入院患者のサイン
【第24回】認知症の終末期②症状・病態の変化
【第26回】神経難病の終末期①入院患者のサイン
「非がん患者への緩和ケア」シリーズの記事はこちら
経管栄養や抗菌薬治療を実施するかどうか検討する
認知症患者の終末期においては、意思決定が困難な場合があります。そのような場合に重要な課題は、経口摂取が不能となった場合の選択です。
欧米の研究では胃瘻を含め経管栄養をしても生命予後の延長1、誤嚥性肺炎の予防2などは望めず、苦痛を増やすだけ3であり、行うべきではないという流れになっています。
経口摂取が不能となった場合、人工的水分・栄養補給法(artificial hydration and nutrition:AHN)*1をしなければ生命予後は1~2週間、末梢輸液・皮下輸液投与下では2~3か月、経管栄養投与下では月単位から年単位と見積もることができます。
特に、経管栄養の生命予後は個別性も大きいことが判断を難しくします。
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この記事の関係者
編集
関根龍一せきね りゅういち
医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 疼痛・緩和ケア科 部長
初期研修後に米国で内科と疼痛・緩和ケアの専門研修を修了し、2007年1月に帰国。以降、現在まで亀田総合病院緩和ケアチーム責任者を務める。目標は、『年齢、疾患によらず全患者に緩和ケアを提供すること(Palliative Care for All)』(鴨川宣言2018)。
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大川薫おおかわかおる
医療法人鉄蕉会亀田総合病院 在宅診療科部長、地域医療支援部部長兼務
1998年福井医科大学卒業。亀田総合病院家庭医診療科、2007年同在宅診療科、2017年より現職。プライマリ・ケアに従事するかたわら、地域包括ケアと災害医療とを結びつけた活動、同僚とともに開発した「もしバナゲームTM」の普及を行っている。
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