不安、抑うつ、焦燥感 ─ 。患者さんに現れる精神症状は多種多様ですが、どれも“つらさからこころを守る反応”であることに変わりはありません。基本として知っておきたい、精神症状との向き合い方を解説します。

精神症状とは“つらさからこころを守る反応”

 精神症状と日常生活の感情との境目は非常にあいまいです。“日常生活の感情”の1つとして、憂鬱や不安を経験したことのない人もいないでしょう。それが“精神症状”になるのはどこからか、というのはなかなか難しいところです。
 ナースの皆さんのかかわりとしては、日常の感情でも精神症状でも、

つらいできごとをこころが抱えられなくなって、外に出されたものが症状
外に出すことで、こころが破裂しないようになんとか対処している

という2つのイメージをもつことが大切です(図1)。

図1 症状は患者さんなりの対処

 よって、こちらがとるべき方針は、

患者さんが抱えられない部分をいったんこちらで抱えておく
患者さんのこころのスペースをゆっくり広げていく

ことが基本になります。これらがケアの根底になり、“支持”につながります。
 
 この“支持”は使い古された言葉ですが、患者さんの“松葉杖”だと考えてみてください。患者さんが依存しすぎない程度の支えというのが大事で、松葉杖は患者さんが回復すると使われなくなりますね。
 もし私たちが“車椅子”になってしまったら、患者さんはそれにどっぷりと依存して立てなくなってしまうことも起こりえます。そうではなく、患者さんが回復してまた歩き始める、そんな姿を浮かべつつ現在を支えるというのが、支持のイメージです。

“日常生活の感情”と“精神症状”の境目は?

 日常生活の感情と精神症状を鑑別するのに、現時点で役に立つ検査というものもなく、“生活の質に支障をきたしており一定期間改善されてこない”“その症状にとらわれていて柔軟な考え方ができない”などというのを一応のめやすと考えてはいます。

 精神科医はすごく悩むところですが、これはお薬という武器を使うかどうかということに大きく絡んできます。正常な感情にお薬を使うのはちょっとやり過ぎですよね。

一般病棟でも気になる!精神症状への対応【第2回】ナースができる精神症状への3つの対応

この記事は『エキスパートナース』2016年1月号特集を再構成したものです。
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