飲み合わせに影響を与える「CYP」について解説。抗精神病薬、新規抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系との飲み合わせについて、それぞれの注意点をまとめました。

〈目次〉
飲み合わせに影響を与える「CYP」とは?
抗精神病薬との飲み合わせの注意点
新規抗うつ薬との飲み合わせの注意点
ベンゾジアゼピン系との飲み合わせの注意点

飲み合わせに影響を与える「CYP」とは?

 CYPは肝臓にある酵素で、物質の代謝にかかわります。いくつか種類があって、3A4や2D6などが有名。投与される薬剤は、特定のCYPによって分解(代謝)されて効果をなくしていきますが、なかにはCYPで代謝されることで効果を出すものもあります(タモキシフェンなど)。

 このCYPの働きを邪魔する“阻害薬”、働きを強める“誘導物質”を用いると、代謝がいつも通りにいかなくなります。CYPの種類とそれにかかわる薬剤を知っておかないと、思わぬ作用が出てしまったり、全然効果を示さなかったりしてしまいます(図1)。

図1 CYPに影響を及ぼす薬剤の例

図1 CYPに影響を及ぼす薬剤の例

 薬剤相互作用で確認するべき点は、その薬剤がどの肝酵素CYPで「代謝される」か、また、どのCYPを「阻害する」かです(CYPの作用を強める薬剤もいくつかあります)。
 
 例えば、特定のCYPで「代謝される」薬剤に、そのCYPを「阻害する」薬剤を併用すると、薬剤の代謝が十分に行われなくなります。そのため「代謝される」ほうの薬剤の副作用が強まったり、十分な作用を発揮できなくなったりします。
 精神科以外で用いる薬剤についても、CYPによる代謝や阻害を知っておきましょう。全部挙げるとキリがないので、本当に代表的なものを示します(表1-a表2-a)。

抗精神病薬との飲み合わせの注意点

 どの肝酵素CYPで代謝されるか、またどのCYPを阻害するかを表1-b表2-bに示します。例えば、CYP3A4で「代謝される」アリピプラゾール(エビリファイ®)を内服している患者さんに、CYP3A4を強力に「阻害する」抗菌薬クラリスロマイシン(クラリス® /クラリシッド®)を投与すると、一気にアリピプラゾールの副作用が出てしまいます。

新規抗うつ薬との飲み合わせの注意点

CYP を阻害する薬剤が多い

 新規抗うつ薬はCYPを「阻害する」ものが多く、これには眼を光らせましょう。阻害の強さを合わせて示します(表1-c)。
 例えば、ワルファリンカリウム(CYP2C9で代謝)服用中の患者さんにフルボキサミンマレイン酸塩を投与すると、ワルファリンカリウムの代謝が阻害されてPT-INRが予想以上に高値になります。

 また、タモキシフェンクエン酸塩(CYP2D6で代謝)で乳がんの治療をしている患者さんでは、パロキセチン塩酸塩投与でタモキシフェンクエン酸塩が活性代謝物になるのが阻害され、抗腫瘍効果が落ちてしまいます。
 他にも数えきれないくらい併用注意のお薬はあるので、患者さんの内服薬のCYP代謝や阻害は添付文書や専門書で調べておくことが思わぬ事故を防ぎます。

 新規抗うつ薬のCYPによる「代謝」は、多くはCYP2D6とCYP3A4です(表2-c)。塩酸セルトラリンはその他のCYPでも代謝され、ミルタザピンはCYP1A2によっても代謝されます。

PGP 阻害も、飲み合わせに影響

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