退院後の生活を見据え、患者さんの自立のために実践できる“ちょっとリハ”とは?今回は、軽介護者を車椅子に移乗介助の注意点やコツを紹介します。
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移乗介助での注意点は、主に以下が挙げられます。
●患者の転倒・外傷などがないように安全に行うこと
●患者に恐怖感や苦痛を与えないこと
●介助者の安全確保(腰痛予防)
これらを満たしたうえで、本人のもっている機能を引き出す工夫がリハビリテーションです。
移乗動作の要素は、①立ち上がり②方向転換③着座動作に大別できます。各要素でのポイントについて解説します。
立ち上がりとは、荷重している接地面が変わる“重心移動”
介助前に声をかけて意識づけを
介助を行う前に車椅子を示し、声をかけましょう。移乗に意識を向けることができます(図1)。
図1 端座位で準備している状態

●声をかけることで、自分で「車椅子に座る」という動作を行う意識づけになる
立ち上がり動作は「荷重している接地面が変わる」ということを理解しましょう。重力のある地球上では、重心が接している面から外にずれた物体は倒れます。倒れずに姿勢を保持するということは、荷重接地している面の中に重心が収まっている状態です。
座位では体を支えている接地面(支持基底面)が足部~大腿~殿部と広いのですが、立ち上がることで殿部は接地面ではなくなり、足部だけが接地面となります。 接地面の範囲が変わってもバランスを保つためには、重心がはずれないようにしないといけません。患者さんが移乗の際に怖がる場合は、重心が接地面からはずれている状態の可能性があります。
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