手術を必要とする糖尿病患者さんの心理についての研究をもとに、実践したいケアを紹介します。
患者さんの身体の変化を理解し、個々の取り組みを支持
●周術期から退院後の日常性を取り戻していく時期全体を通して、自己管理を再構築していく視点から糖尿病患者さんを支える
●患者さんが目標を明確にできるようにする
●治療や食事、活動範囲の拡大などのタイミングを逃さず、いつでも支援できる体制を整える
術前~退院直後の状態にあわせて自己管理を支援する
1)術前:糖尿病をもつことによる新たな課題に直面するなかで、手術への準備を支える
日常の血糖コントロールが術前の管理期間を短縮し、術後合併症を予防することにつながるという実感は、自覚症状が伴わないがゆえに、ともすると疎(おろそ)かになりがちな自己管理を見つめ直すきっかけになります。
術前の期間は、今後起こり得るさまざまな状況に備えるための自己管理の必要性を伝えるよい機会と言えます。
しかし、術前の患者さんの置かれている状況は次のようにさまざまです。
●術前検査ではじめて糖尿病と診断された
●自己管理が不十分なために合併症が進行した結果、手術適応となった
● 自己管理してきたのに「なぜこんなことに……」と受け入れられない思いを抱えながら手術に向かう
●悪性の疾患の場合には今後の成り行きへの不安がある など
まずはそれぞれが手術に向けての揺れ動く心情を表出できるよう、つねに支援者として寄り添う姿勢を示し、信頼関係を構築していくことが必要です。そのうえで、術後合併症予防のための糖尿病コントロールの重要性について、目標とする血糖値などの客観的指標を用いて説明するなど、個々に合わせた支援が必要です。
また、術後から退院後にかけて患者さんは自己管理を再構築する必要があります(後述)。 そのため、自己管理の構築のための支援は退院の時期が決定してからではなく、治療経過を通じて自身の血糖変動を確認できるよう、術前から一貫して行う必要があると言えます。
この記事は会員限定記事です。