医療分野における障害者への「合理的配慮」等について解説

 4月1日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」(以下、改正障害者差別解消法)が施行されました。これに先立ち、厚生労働省では3月30日に、『障害者差別解消法 医療関係事業者向けガイドライン~医療分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針~』の改正を行いました¹。

 改正障害者差別解消法では、これまで努力義務であった、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。

 同ガイドラインでは、医療機関における障害を理由とする不当な差別的取り扱いおよび合理的配慮の基本的な考え方や、それらの例などを記載しています。合理的配慮の提供にあたっては、個々の障害特性等をアセスメントし、個別の支援計画(看護計画等)に位置づけるなどの取り組みも望まれています¹。

合理的配慮に該当すると考えられる例

●エレベーターがない施設の上下階に移動する際、マンパワーで移動をサポートすること
●身振り、手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがなつき文書を使用するなど、本人が希望する方法でわかりやすい説明を行うこと
●外見上、障害者であるとわかりづらい患者(聴覚障害の方など)の受付票にその旨がわかる連絡カードを添付するなど、プライバシーに配慮しつつスタッフ間の連絡体制を工夫すること

(引用文献1を参考に作成)

1.厚生労働省:障害者差別解消法 医療関係事業者向けガイドライン~医療分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針~.
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001239118.pdf(2024.4.20アクセス)
2.内閣府:リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」.
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/gouriteki_hairyo2/print.pdf(2024.4.20アクセス)